「猫は逃げた」で新人賞候補も 初主演の山本奈衣瑠「大変だったワンカットの長ゼリフ」
女優3年目、マルチに活動 表現の世界は「私の安全地帯、携われていることが幸せ」
「猫は逃げた」は山本にはどんな作品になったのか。
「改めて考えると自分が映画の主演として出ているのが不思議で、自分のことをまだ女優なんだ、という自覚があまり無いのですが、自分の人生を振り返った時にすごく大切な作品であることは間違いないです。プロデューサーさん達をはじめ今泉組の皆様が自分の全てを受け入れてくれたんだろうなと思うと、私にしか分からない特別な時間たちをこの手のひらの真ん中にしまっておきたい感じです」
女優としては3年目だが、今後もマルチに活動していくつもりだ。「モデルをしたり、何かを作ったり、お芝居してみたりしていますが、全部、1人の私なんです。そのカテゴリーが映画になったり、モデルになったり、文章になっているだけ。自分の中で何か新しく何かが始まるっていう感じじゃないんですよね」。
山本にとっては、どれも表現の一つというわけだ。
「私は要領も悪いし、頭もあまり良くないので、いつも考えるだけでいっぱいいっぱい。そういう時は早く寝たいなと思ってしまいます。自分って、すごくダメだなと思うことも多いのですが、そんな時、表現する仕事に救われたと思うんです。映画って、自分が嫌な部分、自分がすぐに泣いたり怒ったり裸足で外を走ったりしても馬鹿にしないじゃないですか。表現の世界って、私の安全地帯だし、携われていることが幸せ。大事な場所っていう感じがしています。これからも、たくさん努力していく予定です」と精進を誓った。
□山本奈衣瑠(やまもと・ないる)1993年11月12日、東京都出身。モデルとしてキャリアをスタート。雑誌、CM、ショーで活躍。2019年から俳優業に転身。自ら編集長を務めるフリーマガジン「EA magazine」を創刊し、クリエイターとしても活躍。映画「親密な他人」にも出演。