「猫は逃げた」で新人賞候補も 初主演の山本奈衣瑠「大変だったワンカットの長ゼリフ」
城定秀夫脚本、今泉力哉監督の映画「猫は逃げた」(公開中)で初主演ながら好演を見せているモデル、女優の山本奈衣瑠(ないる、28)。約10分に及ぶワンシーンワンカット、ベッドシーンにも挑戦し、年末の映画賞レースで新人賞の有力候補になりそうだ。山本は「人としてはダメダメだったが、表現の世界に救われた」と話す。
山本奈衣瑠インタビュー、公開中「猫は逃げた」で初主演
城定秀夫脚本、今泉力哉監督の映画「猫は逃げた」(公開中)で初主演ながら好演を見せているモデル、女優の山本奈衣瑠(ないる、28)。約10分に及ぶワンシーンワンカット、ベッドシーンにも挑戦し、年末の映画賞レースで新人賞の有力候補になりそうだ。山本は「人としてはダメダメだったが、表現の世界に救われた」と話す。(取材・文=平辻哲也)
レディースコミックの漫画家・町田亜子(山本)と、その夫で週刊誌記者、広重(毎熊克哉)が互いに不倫関係にあることを隠しつつ、飼い猫カンタの取り合いを繰り広げる大人のラブコメディー。撮影は昨年5月、約2週間。劇中では、猫を相手に芝居し、大胆な濡れ場にも挑戦した。
「カンタはすごいマイペース。そのカンタの世界にお邪魔して、映画を撮らせてもらっている感じでした。何度も撮り直したところもありましたが、私自身はあまり大変だとは思わなかったですね。完成品を見たら、猫の演技がすごくて、スタッフさんに聞いたら、『めっちゃ大変だった』と。私が見てないところで皆さんの素晴らしい努力があったんだなと思いました」
ベッドシーンには抵抗感はなかった。「人間の営みとして普通にあるわけですし、撮影の時は、松山くん(井之脇海)の支えている手がつらくないかなと思ったくらい。それにスタッフさんは、(裸が)見えることに関してちゃんとケアをしてくれたんです。事前に契約書なども提示してくれました。『ここは安全な場所。何をやってもいいんだよ』と言われているようでした。こういう安心感は作品にもつながっていると思います」。
大変だったのは、最大の見せ場となるラストシーンだ。亜子とその夫、広重(毎熊)、亜子の浮気相手で編集者(井之脇海)、広重の浮気相手で同僚(手島実優)が一堂に会し、それぞれの思いをぶつかる。山本は、一人少し離れた椅子に座って、3人と対峙し、ワンシーンワンカットの長ゼリフに挑んだ。
「台本では10ページ弱くらいあるんですよ。撮影の朝に『台本が変わりました』と渡されて、こんなの覚えられるのかなって(笑)。まずは物理的に大変ということはあったんですけど、私の立ち位置的に3人の目がこっちに向かってくるんです。みなさんのプロフェッショナルな部分に助けられながらも緊張感のある時間が長く続き、夜のシーンだから窓に目張りもしてあって、圧迫感もあったんです。そんな中、セリフを間違えたら、最初からやり直しになるわけです。10回くらい撮ったんですけど、終わりのカットがかかった瞬間裸足で外に飛び出して、走ってました」と笑う。