【RIZIN】「目の前の敵は敵じゃない」“Uの子孫”山本空良の父・喧一会長が提唱する独自理論

2018年末、RIZINアマチュア大会に山本空良が優勝した日に記念で撮ったもの
2018年末、RIZINアマチュア大会に山本空良が優勝した日に記念で撮ったもの

見るのは相手ではなく、「世界最高峰」の映像

――話は変わりますけど、小耳に挟んだ話だと会長は、空良選手に対戦相手の試合映像を見せないそうですね。

「いや、空良に見せないというか、あいつが見ないですね。これはかつては世界を目指していた人間として言わせてもらうと、一時期、自分が最先端の練習をしてきた自負があったんです。なので、世界を目指すと考えた時に果てしない、終わりのない練習をしていた時代があった。いまは闘うステージが増えて、階級も4キロ刻みのフェザー級に落ち着いていますけど、そもそも世界一の強い男を目指していれば、目の前にいる敵は敵じゃないんだっていう意識が僕の中にあるんです。だから僕の時代のことを押し付ける気はないけど、そうやって生きてきたから。どうせ見るなら、今、世界最高峰の選手たちの試合を見ろって言っています」

――相手ではなく、「世界」のトップレベルの闘いを見ておけと。

「そう。自分の次に闘う相手の研究はしなくていいよ。だってその人間は、世界最高峰に行けるかわからないし、そういう努力をしていないと思うよって」

――目指すはあくまで「世界」だと。

「ええ。こっちは選手に練習内容、メニューを与えているわけですけど、その中ではしんどい練習もあるじゃないですか。でも、それを乗り越えていけば、自ずとそのステージに行けるわけですよ。僕も乗り越えてきたから。でも人間だから、どっかで自分に妥協してしまうことがある。要はそれにさえ負けなければ、僕が与えたメニューをクリアしてくれれば強くはなるんです。なぜなら自分はもっと血ヘドを吐くような練習してきたから分かるんですよ。それを今の階級が分かれている状態の人たちがやれば、ね。しょせん今は4キロ刻みですよ。でも僕の時代は50キロ差とか100キロ差が当たり前だった」

――体重差のある試合も多かったと思います。

「無茶な減量、ルールも無茶苦茶、ドーピング検査もあってないようなもの。レフェリングも今ほどしっかりしていない。その状況下でどうやって自分の命を守るかとなった時に、外国人にパワーで対抗するの?って。僕、日本人の中ではウエートトレーニングも頑張って、パワーでは誰にも負けない時期もあったんですけど、それでもパワーでは勝てないから、だったら技術を上げるしかない。要は、今に比べたら危ないなかでやってきた時代があって。今の選手たちにそれをやれって言っても、みんなNOですよね。みんな嫌がるし、すごいクレームで、SNSも炎上しますよ。だから今の子たちには、その時にあった自分の経験を伝えている感じなんですね」

――興味深い考え方ですね。

「やっぱり世界最高峰で闘っている人間は、理由があるからそこにいるわけであって。だったら、どうせ見たり刺激を受けるのであれば、そういう選手たちからのほうが、いいパッション、波動を受けると思う。どうせ見るならそっちを見てろ。誰と闘うからって、その選手の研究なんかしなくていい、それをやるのはコーチ陣。我々の仕事であって。常に現役選手は自分を高めることに集中してほしいんですよね」

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