――愛の種類が増えた分、その愛に濃淡が生まれると？

「例えば恋愛に関しての色も赤だったのが朱色だとかもっと濃い色になっていったり。限られた色しか知らなかった若い頃と比べると、30代、40代、そして50代と自分の中にある色の数も増えていった。そんな感じがするんですよ。きっと人生の最期を迎えるまで色の数っていうのは増えていくんでしょうね。どんなに厳しくて利己的だった人でも歳を重ねていくうちに色数が増えていって優しくなっていくかもしれないし。感性が子どもに戻っていくみたいな、そんなことを先輩方から感じるところもあるんです。じゃあ自分は現在どうなんだろう？　そんなふうに向き合いながら今回のアルバムに取り組んでいったんです」

――まさに「向き合う」という言葉の通り、今回のテーマ曲「愛の爆弾＝CHERISH」で「愛は引かれ合う引力」と歌っています。

「愛を与えるっていうのは、許すことだと思うんです。でもそれってすごく大変なことじゃないですか？　自分のことは簡単に許せても人に何かを与えたり、許すことってすごく難しい。だけど『アインシュタインの手紙』と言われている文章には『愛は引力で愛を与えることも、受け取ることもできて、その愛がつながっていけばつながっていくほど無限の力になって光の道ができる』と書かれている。人はどうしても目の前で渡したものがすぐ返ってこないと自分が与えただけ？　って心のどこかで思ってしまう」

――つい見返りを期待してしまう。

「でも損得じゃないと思うんです。例えば震災やパンデミック、もっと自分たちの身近なことだったり、何か力になりたいと思って起こした行動が『愛の力』になるんです。直接『ありがとう』って言ってもらえないかもしれないけれど、その愛の力はいつか違う形で必ず返ってくる。何百年後の未来の子どもたちに返ってくるかもしれない。これが今回のアルバムで伝えたかった『愛の方程式』なんです。許せるものが大きい人ほど未来に与えられるものも大きいと思う。なかなか分かり難いかもしれないけれど、愛ってそういうものだと自分は思っています」

――そんな愛の種類が増えた今、90年代に作ったご自身の曲と向き合ってみて感じることはありますか？

「俺は自分が作った曲というのはリリースしたその瞬間からみんなのものになっていると思っていて、意外と客観的な目で見られるんですが、今聴き返してみるとあの頃の気持ちとは違った形で言葉が響いてくるんですよ。だからその曲を何歳で受け取るかによって曲から受け取るものって変わってくると思います。自分だって、子どもの頃に聴いていた歌や学生の頃に文化祭でカバーした曲なんて、歌詞の本当の意味なんかほとんど気にしていなかったですから。いかにカッコよく歌ってみんなにカッコいいって思われたいかって」

――やっぱり最初の動機はそこですよね？

「ありますよね？（笑）　それで、だんだんと歌詞の内側みたいなものをキャッチするようになって、歌詞を書いた人の心模様を探しながらその歌詞を読むようになったんです。すると子どもの頃に聴いていた歌も沁みるようになってね。でも、あの頃の曲だって10代とか20代で作った曲じゃないですか？　だから曲って面白いですよね？　曲自体が命を持って歳を重ねていくってことですよね」

□T-BOLAN（ティー・ボラン）ボーカル森友嵐士、ドラム青木和義、ギター五味孝氏、ベース上野博文の4人からなる伝説のロックバンド。1991年7月シングル「悲しみが痛いよ」でデビュー。同年12月にリリースしたセカンドシングル「離したくはない」が異例のロングヒットを記録。その後も次々とヒット曲を連発するが、ボーカルの森友が心因性発声障害を発症し、それが原因で99年に解散。森友の懸命なリハビリの末、2012年、奇跡の再結成を遂げた。しかし15年3月今度はベースの上野がくも膜下出血で倒れ、一時は意識不明になるも家族やメンバーの献身的な看病もあり、16年12月31日に奇跡の復活を果たす。そこでT-BOLANは完全復活を宣言。18年には約23年ぶりの本格的な全国ツアーを敢行。そして22年3月14日、約28年ぶりとなる待望の6thオリジナルアルバム「愛の爆弾＝CHERISH ～アインシュタインからの伝言」を発売。さらに4月13日には、メジャーデビュー30周年を迎えたベストライブツアーのファイナル公演を完全収録したDVD「T-BOLAN LIVE HEAVEN 2020『the Best』～繋～ 愛の爆弾＝CHERISH FINAL」も発売する。

○T-BOLAN公式HP
http://www.beinggiza.com/zain/t-bolan/

○公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCOmsRA-uLJ2y6UaGC-9iCyw

「T-BOLAN『愛の爆弾 PROJECT～MESSAGE FROM アインシュタイン』LIVE TOUR 2022」

ライブスケジュール（今後のスケジュールは決定次第発表）
4月15日（金）千葉・成田国際文化会館
4月23日（土）京都・舞鶴市総合文化会館 大ホール
5月01日（日）神奈川・神奈川県民ホール
6月03日（金）熊本・荒尾総合文化センター 大ホール
6月04日（土）福岡・福岡市民会館 大ホール
9月18日（日）長崎・長崎ブリックホール 大ホール
9月19日（月・祝）大分・大分iichikoグランシアタ

詳しくはオフィシャルサイトへ
http://www.beinggiza.com/zain/t-bolan/#ainobakudan-tour