健康社会学者・河合薫さんが提案するコロナ禍の生き方「無駄を作ることと愛をケチるな」
全日空のCAから気象予報士となってテレビ朝日系「ニュースステーション」で活躍し、2002年には東大大学院医学系研究科に進学して07年に博士課程を修了。今、健康社会学者として活躍する河合薫さん56歳。人と環境の関わり方に注目し人の幸福感や生きる力を研究する。河合さんにコロナ禍で働くサラリーマンは何を心掛ければいいのかを聞いた。3月16日には、その道しるべになりそうな著書「THE HOPE 50歳はどこへ消えた?半径3メートルの幸福論」を出版するという。
3月16日に著書「THE HOPE 50歳はどこへ消えた?半径3メートルの幸福論」発売
全日空のCAから気象予報士となってテレビ朝日系「ニュースステーション」で活躍し、2002年には東大大学院医学系研究科に進学して07年に博士課程を修了。今、健康社会学者として活躍する河合薫さん56歳。人と環境の関わり方に注目し人の幸福感や生きる力を研究する。河合さんにコロナ禍で働くサラリーマンは何を心掛ければいいのかを聞いた。3月16日には、その道しるべになりそうな著書「THE HOPE 50歳はどこへ消えた?半径3メートルの幸福論」を出版するという。(取材・文=中野由喜)
「一言で言うと人生の生き直しをする本です。50歳にして、天命を知るどころか、迷い、戸惑い、恐れている。45歳定年説や自分らしく生きたい、生きているつもりだけど、これで本当にいいのかとか、時代も価値観も変わって、生活スタイルも変わり、人生の迷子になっている人も多いと思います。このまま終わりたくない、という気持ちはある。でも、残りの人生をどうしたら幸せに過ごせるのか、自分のやっていることは本当に正しいのかと悩むことも。そういう世代に、人は幸せになるために生まれてきた、あなたには幸せになる力が秘められているから大丈夫だよ、と伝えたくて、人生で本当に大切なことが分かるように、という思いで書きました。幸せになる力は、自分を取り囲む半径3メートルとの関わり方で、強化させるんです」
コロナ禍のタイミングで出版する意味は。
「コロナ禍がなかったら書いていませんでした。私自身、全日空に4年、お天気会社に2年、その後、フリーランスで生きてきました。ずっと私は、ごく一部の人にしか指定席がなく、目の前のことを200%の力でやり続けないと次はないと思いながら生きてきました。40歳の頃には、死んだ目をした上の人たちのようになりたくない、って思っていたのに、50歳という一丁上がり感のある年齢になって、気がつかないうちに時間と成長の止まった、あちら側に足を踏み入れていたんです。そのことにコロナ禍が気づかせてくれた。コロナ禍になった途端、講演など、どんどん仕事が消え、積み上げてきた物がこんなにもろくも崩れ去るのかと焦り、このままじゃヤバいと不安になった一方で、心がザワザワして。このままで終わりたくないというか、終われないでしょ? って、ジタバタした。しかも、周りを見渡してみると、同年代の人たちも同じように焦燥感を募らせていました。それで、私がずっと研究してきた幸せへの力と、約900人のビジネスパーソンのインタビューで語られた、生きた言葉を、今こそ書こう、と。今書かなくて、いつ書くんだ? と、自分に喝を入れました」