「死んだときに聴きたい曲が生まれた」 SUGIZO、7つのクリスタルに導かれ完成した自信作

ロックバンド「LUNA SEA」「X JAPAN」のギタリスト、バイオリニストとして活躍しているSUGIZOが、モジュラーシンセサイザー奏者のHATAKENとコラボレーションしたアルバム「The Voyage to The Higher Self」(3300円)を2月16日にリリースした。SUGIZOがこれまでの発表してきたソロ曲を、HATAKENが加工。心と身体を調整するエネルギー「チャクラ」をモチーフに再構築した。チャクラの7色とシンクロした7曲は、コロナ禍で気づかないうちに閉じていた心身を解放してくれる。キャッチボールを重ねて曲を生み出した2人にアルバムについて聞いた。

取材に応じたSUGIZO【写真:ENCOUNT編集部】
取材に応じたSUGIZO【写真:ENCOUNT編集部】

モジュラーシンセサイザー奏者のHATAKENとコラボ

 ロックバンド「LUNA SEA」「X JAPAN」のギタリスト、バイオリニストとして活躍しているSUGIZOが、モジュラーシンセサイザー奏者のHATAKENとコラボレーションしたアルバム「The Voyage to The Higher Self」(3300円)を2月16日にリリースした。SUGIZOがこれまでの発表してきたソロ曲を、HATAKENが加工。心と身体を調整するエネルギー「チャクラ」をモチーフに再構築した。チャクラの7色とシンクロした7曲は、コロナ禍で気づかないうちに閉じていた心身を解放してくれる。キャッチボールを重ねて曲を生み出した2人にアルバムについて聞いた。(取材・文=西村綾乃)

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 ギターやバイオリンなどを駆使し、怒りや喜び、悲しみなど人間の心に芽生える感情を音で表現し続けているSUGIZO。昔から大好きだというモジュラーシンセサイザーを自在に操るHATAKENと共演した最新作の制作では「30年間音楽を続けていたのは、これを作りたかったからかもしれない。魂レベルで求めている音が生まれた」と手ごたえを語る。

 2人が出会ったのは2016年ごろ。SUGIZOは「僕は昔からシンセサイザーが好きだったのですが、近年さらに深くはまってしまって。もっと深く学びたいと三軒茶屋(東京)で行われていたモジュラーシンセの奏者が集まるイベント『Modular Cafe』に足を運ぶようになったんです。シーンをリードするHATAKENさんの演奏に引き込まれてしまい、すぐに『良かったら一緒に音を出していただけませんか』と声を掛けさせていただきました」と振り返る。

 突然の申し出に驚いたHATAKENだったが、「お互いにオーラなど目には見えない世界に関心を持っていることを知り、さらに時代が変わっても根っこで大切にしているものが同じだと気付いた。SUGIZOさんとは深部でつながることができる」と確信したという。やり取りはSUGIZOが2016年に発表したアルバム「音」に収録した「The Voyage Home」でミックスを務めたことから始まった。

「リミックス4パターンくらい作ってくださって。リリースしたのは1曲ですが、どれも素晴らしかった。共演したライブでは即興中心のスタイルで、その時間がとても楽しかった」とSUGIZO。「HATAKENさんとなら、僕が長年知っているシンセサイザーの魅力を、リスナーに伝えられる」と2人の活動を深化させることを決めた。

 SUGIZOの既存曲を受け取ったHATAKENは、「アンビエントなものを作りたい」と提案したSUGIZOのイメージに合わせ、モジュラーシンセサイザーを使って解体。変容した曲のモチーフを聴いたSUGIZOは「自分が気付いていない自分と出会うことができた。DNAを再利用された感覚」と刺激的だったよう。モチーフにインスパイアされさまざまなアイデアが降りてきたといい、すぐにギターを手に取り、メロディーやハーモニーを加えていったという。

 曲の輪郭がはっきりしていく中で、引き合う力を感じた。それは2人が大事にする精神世界へと進み、私たちの身体の軸にあると言われる「チャクラ」やそれを示す7つの色へと思いが広がっていった。

 1曲目の「Muladhara(ムーラダーラ)」は根を支える第1のチャクラ。大地とつながり、そのエネルギーを吸収しながら、第2のチャクラを意味する2曲目の「Svadhisthana(スヴァディスターナ)」と上昇していく。ギターやヴァイオリン、人の声や水が流れる音などが混ざった作品は、聴き手を瞑想の世界へと誘ってくれる。

 ひとりスタジオにこもり制作を進めたSUGIZO。7つの曲を磨いていく中で、チャクラの色とリンクする7つのクリスタルが支えになった。

「Muladharaでは赤黒いメノウ、『Manipura(マニプーラ)』のレコーディング中は黄色いシトリン、『Ajna(アージュニャー)』の制作では、アメジストを握りしめていました。思うようにいかないと煮詰まると石が導いてくれた。『Ajna』や『Sahasrara』はフィジカルから離脱したとき、僕が死んだときに聴きたいと思う音楽。チャクラ、クリスタル、オーラなど僕が20年以上学んできた結晶が作品になったことがとてもうれしい」

 コロナ禍を照らす光りのような7曲を生み出した2人。HATAKENは「最高のパートナーと、純粋に聴きたいと思える曲を作ることができ感謝しています。今回は僕がSUGIZOさんの曲を受け止めて、キャッチボールを交わしましたが、また別のプロセスでも曲を作っていきたい」と次回作の構想も練り始めたよう。SUGIZOも「僕らが表現したいと思うことは、アルバム1枚では収まりきらない。曲作りはもちろんライブなど活動を広げていきたい」と意欲を見せた。

 インタビュー中、SUGIZOが見せてくれたクリスタルの中には、才能の花を開かせるエネルギーがある「ハーキマーダイヤモンド」も並んでいた。デュオとして芽吹いた2人がどんな花を咲かせてくれるのか、注目していきたい。

□SUGIZO(スギゾー)1969年7月8日、神奈川県生まれ。LUNA SEAのコンポーザー、ギタリスト、バイオリニストとして92年5月にメジャーデビュー。97年からはソロアーティストとしての活動を開始し、映画や舞台音楽なども手掛けている。2009年にサポートを続けていたX JAPANに正式加入。ほか英国サイケデリック・トランスのオリジネーター JUNO REACTOR、サイケデリック・ジャムバンド SHAGのメンバーとしても活動している。

□HATAKEN(ハタケン)1968年11月6日、東京都生まれ。モジュラーシンセサイザーライブパフォーマー、エレクトロニックミュージックプロデューサー。北米、欧州、アジアの各地で精力的にライブ活動を行い、モジュラーシンセを駆使し新たなエレクトロミュージック表現を探求する、日本を代表するエレクトロニックミュージックのアーティスト。Tokyo Festival of Modularを主催し、モジュラーシンセサイザーの国内の普及、新たな音世界を発信し、世界中のアーティストから注目されている。

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