赤ちゃんのおしり、親が触っても性加害? 専門家が指摘する“線引き”は

「赤ちゃんのうちにおしりをいっぱい触っておいた方がいい」。生後4か月の子を持つ女性が母からこのような育児のアドバイスを受けたという趣旨の投稿が、ツイッター上で議論を呼んでいる。「分かる。赤ちゃんのおしりかわいいもんね」「(成長すると)すぐに触らせてもらえなくなる」と賛同の声がある一方、「赤ちゃんでも一人の人間」「むやみに触ったら性加害と変わらない」など、おしりを触るという行為に慎重な声も。議論が過熱したためか、当該アカウントはすでに削除されている。

赤ちゃんのおしり(写真はイメージ)【写真:写真AC】
赤ちゃんのおしり(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「赤ちゃんのうちに触っておいた方がいい」 投稿がツイッター上で議論に

「赤ちゃんのうちにおしりをいっぱい触っておいた方がいい」。生後4か月の子を持つ女性が母からこのような育児のアドバイスを受けたという趣旨の投稿が、ツイッター上で議論を呼んでいる。「分かる。赤ちゃんのおしりかわいいもんね」「(成長すると)すぐに触らせてもらえなくなる」と賛同の声がある一方、「赤ちゃんでも一人の人間」「むやみに触ったら性加害と変わらない」など、おしりを触るという行為に慎重な声も。議論が過熱したためか、当該アカウントはすでに削除されている。

 我が子のおしりを触るという行為は性教育的に問題があるのか。一般社団法人“人間と性”教育研究協議会の設立者で、フクチマミ氏との共著「おうち性教育はじめます 一番やさしい! 防犯・SEX・命の伝え方」(KADOKAWA)など多数の著書がある性教育専門家の村瀬幸浩氏は「個人差はあるが、一般的に3歳くらいからはやめたほうがいい」と指摘する。

「3歳というのは、だいたいトイレトレーニングが終わり、自分と人の区別がついたりオムツが外れる年齢。同時に言葉も覚えて、自分の排せつや性器について対象化・客観化し、自分の体が自分のものだと認識できる年齢です。このくらいの年齢から、むやみに触らないとともに、プライベートパーツについての教育を始める必要があります」

 プライベートパーツとは、体の中でも特に繊細で柔らかく傷つきやすい口・胸・性器・おしりなどの部位のこと。体の内部につながる大事な箇所であり、思春期以降は性感帯ともなっていく部分だ。

「子どもはなかなか親に嫌と言えない。親が好意を持っているからと子どものプライベートパーツに触っていると、『好意を持ってくる相手には触らせないといけないんだ』、あるいは『自分が相手に好意を持っていれば触ってもいいんだ』と誤った認識を与えることにもつながりかねない。また、親にその気がなくとも子どもが嫌だと感じたらそれは性虐待になります。親が触らないとともに、触っていいのは自分だけで人には触らせない、また人にも触っちゃいけない大事な場所なんだと教えることが肝心です」

 一方で、子どもに自我が芽生える前の0歳から2歳くらいまでは、おしりに触ることにも特に問題はないという。

「トイレから何から、すべてを親に委ねている赤ちゃんのときはこの限りではないでしょう。おしりにたっぷり触っても問題ありませんし、抱き締めたり頬ずりするなど、むしろ必要なことです。ただ、言葉を話し始め、自分のことが自分でできる年齢になってきたら注意が必要です。子どもが嫌がることをしないのはもちろん、たとえ嫌がっていなくとも、プライベートパーツやプライバシーの意識を教え、育てていくことが大切です」

 日本ではまだまだ理解が進んでいない幼少期における性教育の重要性。早いうちから子どもにその意味を伝えていくことが、我が子を性被害から守ることや、加害者となるのを防ぐことにもつながるようだ。

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