【カムカムエヴリバディ】るいの優しい歌声の背景 NHK「ただ寄り添うことがエール」

女優・川栄李奈が3代目ヒロインのひなたを演じるNHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土曜、午前8時)の第90回が9日に放送され、ひなたの母・るい(深津絵里)が恋に破れ、悲しみにくれる娘に英語で「On the Sunny Side of the Street」を歌って慰めた。巧みな英語の優しい歌声に感動した視聴者も多かったはず。演出の松岡一史氏に同シーンへの思いや撮影の様子、心掛けたことを取材した。

ひなた(左=川栄李奈)と話するい(深津絵里)【写真:(C)NHK】
ひなた(左=川栄李奈)と話するい(深津絵里)【写真:(C)NHK】

るい役の深津絵里が英語で名曲「On the Sunny Side of the Street」を感動的に歌唱

 女優・川栄李奈が3代目ヒロインのひなたを演じるNHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土曜、午前8時)の第90回が9日に放送され、ひなたの母・るい(深津絵里)が恋に破れ、悲しみにくれる娘に英語で「On the Sunny Side of the Street」を歌って慰めた。巧みな英語の優しい歌声に感動した視聴者も多かったはず。演出の松岡一史氏に同シーンへの思いや撮影の様子、心掛けたことを取材した。

「プレッシャーでしかなかったです。どういう気持ちでひなたと向き合うのかということから、へたれ込んだ娘にどう寄り添うかを深津さんと議論してやりました。ちょっと声が詰まっているというか、歌が途中で感極まっているところも、編集上、尺をカットすることはほとんどなく、実尺の中で生まれる時間も含めて、そのままいていただけたら伝わる芝居をお2人がされていました」

 当初は「もっと明るくして」という話もしていたという。

「娘をひなたの道に救い出してくださいと伝えていましたが、よく考えると歌詞の中で『自分は日陰の人生を歩んできた』とあります。るいが生きてきた今までの思いが凝縮された歌になっています。そこを起点に感極まったりしますが、実は、答えらしい答えを錠一郎もるいも、何も伝えていません。ただ寄り添うことがエールになるというような出口になればと思っていましたが、見事に受け取ったひなた、五十嵐を含めてそういう空気をつくれたと思います。眠れなかったです。どういうスタンスで歌うのか。なぜ歌うのかというところを再度掘り返したりしました」

 深津の英語力と優しい歌声は素晴らしかった。

「この曲はいろんなバージョンがあるので、どういうメロディーラインで歌うかという議論から始めました。やはりここは、るいが母・安子と聴いていたサッチモの元々のメロディー。るいが聴いてきたメロディーをそのまま、ひなたに向けて歌ってほしいという気持ちがありました。歌の話だけで言うと、メロディー無しの英語の歌詞の発音だけのものを用意したりといろいろ準備はしましたが、安子が子守歌で歌った歌を反すうしてというか起点にやりませんかと(深津に)相談しました。結果、るい的にはサッチモを聴きながら、発音を聴きながら、安子のメロディーを聴きながら練習してくれました。ボイストレーニングはやっていません。こちらで渡した材料で稽古して撮影に臨んでくださいました」

「On the Sunny Side of the Street」はいくつかのバージョンがあるというが、深津の歌声はまるで優しい母の子守歌。これを聴いたひなたも、安子からるいに伝わったように、この曲を受け継いでいくような気がする。

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