都医師会理事、子どもへのワクチンめぐる脅迫に警鐘「恐怖で考え変えさせるのはおかしい」

東京都医師会の定例会見が8日、都内で行われ、小児科医の川上一恵理事が登壇。今月から始まった5歳から11歳の子どもを対象としたワクチン接種について、接種会場周辺でのデモ行為や小児科医への脅迫行為に頭を悩ませていることを明かした。

会見に出席した川上一恵理事【写真:ENCOUNT編集部】
会見に出席した川上一恵理事【写真:ENCOUNT編集部】

今月から5歳から11歳の子どもを対象としたワクチン接種が開始

 東京都医師会の定例会見が8日、都内で行われ、小児科医の川上一恵理事が登壇。今月から始まった5歳から11歳の子どもを対象としたワクチン接種について、接種会場周辺でのデモ行為や小児科医への脅迫行為に頭を悩ませていることを明かした。

 川上理事は会見で、5歳から11歳へのワクチン接種について「コントロールが難しい喘息、先天性心疾患、糖尿病、先天性の免疫不全などの基礎疾患のあるお子さんについては、積極的な接種を推奨します。また希望する健常児のお子さんへの接種を推奨します」と都医師会としての見解を表明。

 自身のクリニックでもすでに接種を開始しているといい「自分のクリニックでは接種前に説明会を行いました。迷ってらっしゃる親御さんからは、うちの子は基礎疾患に入るのかという質問があった。納得していただけた親御さんは接種するケースが多いが、重症化リスクが低いからと接種を見送る親御さんももちろんいる。とにかく説明するということがとても大事」と説明の大切さを語った。

 その上で「実は接種会場で、ワクチン接種を是としない方々がいろいろな意見表明をされています。是としない方々の主張も、研究データの読み方等に起因する部分が多々ある。ぜひ担当医、専門医に確認してほしい」と接種会場周辺でのデモ行為について言及。会見後は囲み取材に応じ「『受けないほうがいいですよ!』とお子さんや保護者の方にビラを配ったり、詰め寄ったりしている。せっかく受ける気になったお子さんが怖がってしまっています。医療機関にも、日本中で『毒物を入れるな』『説明義務違反で訴えるぞ』と脅迫状が日々届いています」と現状を明かした。

 ワクチン接種をめぐる解釈については「医師でさえ読み違えることがあり、一般の人がデータを読み込むのは難しい。論文のサマリーだけ呼んでいる人もいれば、わざと恣意(しい)的に読み違えている人もいる。どう解釈するかは自由ですし、反対意見をおっしゃることも自由」としつつ、「ただ、その表現の仕方はどうかと思う。子どもや保護者、小児科医に恐怖心を与えて考えを変えさせるやり方はおかしいと思う」と話した。

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