アントニオ猪木の付き人だった藤原組長がUWF移籍したワケ 今だから明かせる真相とは
「レスラー仲間からも相手にされず、猪木さんにも信じてもらえなかった」
――クーデター派でもないのに、猪木さんには加わっていると決めつけられてしまったんですね。
「その後『レスラー仲間からも相手にされず、猪木さんにも信じてもらえなかった』とわかったんだ。両方から信用されてなかったってことだよな。なんだ『俺って新日本に必要ないんじゃないか』って、ずっと思い悩む日々になった」
――人知れず、考え込む日々だったんですね
「そんな中、UWFの浦田(昇)社長が家まで会いにやってきた。ひとつだけ聞いたんだ。『俺が必要ですか?』ってな。『必要じゃなかったら、こんなとこまで来ませんよ』と言うんだ。都内だったけど『こんなとこ』って言われちまった。その時はちょっとだけ『こんなとこ!?』って、カチンときたけどな。『俺は新日本に必要ないんじゃないか』って、頭でグルグル回っていたから『わかりました。1週間だけ時間をください』と答えたんだ」
――考える時間が必要だったんですね
「いや『(UWFに)行こう』と思ったんだけど、さすがに猪木さんに話してみようと、時間をもらったんだ。タイミングを探っていたが、車の中でチャンスが来た。そこで『UWFに』と言ったとたんに『え、お前と誰が行くんだ?』と聞かれた」
――慰留してもらえれば、とどまったかも知れなかった?
「なんだ『俺って新日本に必要ないんだ』ってうえに『俺よりも“誰か”の方が大切なんだってことか』ってな。俺には、そう聞こえたんだ。『ああ、良かった。俺は新日本にいらないから(UWFに)行こう』ってことだよ。気が楽になって、堂々とUWFに移った。俺は誰も裏切ってないからね」
――猪木さんもUWFに移籍することになっていたはず、という説もあります
「俺たち、下っ端は何も知らないよ。俺だって本当のことはわからない。40年近く経った今でもわからない。テレビ局との(放映権料などの)駆け引きだったのかも知れないけど、当時なんて何もわからない。毎日、毎日、練習に明け暮れていたし。まあ、今なら猪木さんの気持ちもわかる。みんなが敵に見えてしまったんだろうね。当時は、わかんなくて、猪木さんにもクーデター派にも信用されなくて『俺は新日本に必要ない』となってしまったんだな」