広がる“ロシア排除”の動き 文化交流団体は困惑「ウクライナ人もいるのに」

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、さまざまな分野でロシア排除の動きが広がっている。すでにロシア企業と取引のある各業界から取引中止の発表が相次いでいるが、米グーグルは1日、プロパガンダへの懸念から、ロシア政府系メディアのYouTubeの利用を制限。取引停止による民間の経済制裁のみならず、IT分野からの“サイバー制裁”も強まっている。

ロシア排除の動きが広がっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ロシア排除の動きが広がっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ウクライナ問題後、活動に「不謹慎だ」という苦情の声が寄せられている

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、さまざまな分野でロシア排除の動きが広がっている。すでにロシア企業と取引のある各業界から取引中止の発表が相次いでいるが、米グーグルは1日、プロパガンダへの懸念から、ロシア政府系メディアのYouTubeの利用を制限。取引停止による民間の経済制裁のみならず、IT分野からの“サイバー制裁”も強まっている。

 スポーツ界では、国際オリンピック委員会(IOC)が2月28日、ロシアとベラルーシを国際大会から除外するよう勧告。これを受け、フィギュアスケートを始め、陸上、卓球、セーリングなどの各国際競技連盟では、両国の選手、役員の大会参加を禁じると発表した。

 在日ウクライナ大使館は1日、公式ツイッターで「日本に食料品など、沢山の#RuSSia(ロシア)産商品が販売されています。ウクライナ産の商品も多く販売されています。#RuSSia産を買うと、直接戦争の融資になります。ウクライナ産を買うと、ウクライナ抵抗と平和へのサポートになります。選択は皆さん次第です。」と投稿。SNS上では「ロシア産のイクラやカニはもう買いません」「ウオッカ飲むのやめよう」など、ロシア製品不買の動きも広がっている。

 あらゆる業界・団体でロシア排除の動きが強まるなか、国内の民間のロシア関連団体にも苦情の声が寄せられている。ロシアや東欧出身者向けの就労支援や、バレエやサーカスなどの文化イベントの企画、日本とロシアの文化交流サロンの運営などを行う「日本ロシア文化交流協会」には、ロシアのウクライナ侵攻後、活動に批判的な声が相次いでいるという。

 代表の三池哲也さんは、取材に「ウクライナ問題が起こってからは、『不謹慎だ』『いかがなものか』という批判的な声は実際に寄せられています。もう30年以上、文化交流を目的としてやってた団体。団体名に『ロシア』が入っているだけで抗議の対象とされるのは残念ですが、今さら団体名を変えるわけにもいかない」と話した。

「現在20人ほどのメンバーの中には、日本人スタッフやロシア人のほか、ウクライナ人も多くいます。お互いに立場上難しい感情はありますが、だからこそ文化交流の場が大切だと思っている。政治は政治、文化は文化で、こういうときこそ個人間での交流や対話が必要だと思うのですが……」と困惑を隠さない。

 あらゆる方面で進むウクライナ応援、ロシア排除の図式。ますます深まる両国の溝が埋まることはあるのか。

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