この季節、42年前の興奮が蘇る 猪木VSウィリー・ウィリアムスの異種格闘技戦を振り返る

「猪木VSウィリアムス」のパンフレット。42年前が蘇る【写真:柴田惣一】
「猪木VSウィリアムス」のパンフレット。42年前が蘇る【写真:柴田惣一】

大混乱を経て両者ドクターストップ その後、猪木はIWGP構想に動き出す

 3Rには猪木が腰投げで叩きつけたが、下からウィリーの蹴りが猪木の頭部にヒット。それでも猪木は腕ひしぎ十字固めを決めたが「寝技は5秒以内」とあって決定的なダメージを与えることはできなかった。

 ウィリーの飛び蹴りが決まった4R。猪木もドロップキックで反撃。猪木のローキック、ウィリーの後ろ回し蹴り、ヒザ蹴り、ヒジ打ちとケンカ空手で応戦したが、またまた場外に両者は転落。ウィリーに馬乗りになられた猪木だったが、腕ひしぎ十字固めで絞り上げた。するとセコンド陣がふたたび殺到。大混乱の中、2人そして両陣営は引き離されたが、猪木は左脇腹、ウィリーは左ヒジを痛め、両者ドクターストップで痛み分けとなった。

 1976年2月のルスカ戦からここまで4年あまり、異種格闘戦を闘ってきた猪木だったが、この一番でいったんピリオドを打つことになった。ウィリーとの激闘に格闘家とのバトルに一区切りをつけ、乱立するプロレス界のタイトル統一を目標にIWGP構想に動き出すことになる。

 84年にアノアロ・アティサノエと異種格闘技戦を再開させるが、ウィリー戦の迫力とはほど遠かった。89年にはショータ・チョチョシビリに異種格闘技戦で初黒星を喫した猪木だったが、1か月後にリベンジを果たしている。

 95年のジェラルド・ゴルドー戦など猪木のレスラー人生を彩ってきた異種格闘技戦。多くのひとが「ベスト1」にあげるのは、会場全体をも巻き込み、ヒリヒリするほどの殺気を帯びたウィリー戦だろう。(文中敬称略)

次のページへ (3/3) 【写真】ウィリー・ウィリアムスさんのオフショット
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