卒業シーズン迎え子どもの制服どうする? リユース店代表「シングル家庭への支援必要」
「シングル家庭への支援はまだまだ不足している」
一方、ランドセルについては「小学生が対象ですので無償提供をお願いしています。状態を見たうえでランドセルを必要とする世帯に無償でお渡しできるようにしています。本当に必要な方にお譲りするためにお子様の保険証などを提示していただいています」(石井さん)。都内には定住外国人の集住地域がありコロナ禍で仕事を失った外国人の子どもへのランドセル寄贈を行っている支援団体もある。行政からの委託を受けて外国人支援を行っている大田区の団体職員は「公立小学校の中には外国人の生徒に対し『ランドセルでなくても大丈夫』と言ってくれる先生もいるようですが、クラスでその子だけリュックを使っているといじめの対象になりかねない」と危惧する。この職員は外国人児童が集まる日本語教室のネットワークをたどって知人から寄贈されたランドセルを困窮世帯に渡すことができた。
石井さんは「妊娠、出産時の母親や幼児への支援がここ数年充実してきましたが、中学や高校に通う子どもを持つ世帯、特にシングル家庭への支援はまだまだ不足していて見えない貧困が広がっている気がします。微力ですが、制服のリユースやランドセルの無償譲渡など『さくらや』の事業が応援になればうれしいです」と話す。
お下がりを着用することへの抵抗感を聞くと、「物品を再利用するヤフオクやメルカリのユーザーが増えていることからも分かるように最近はリユースへの見方が変わってきていると思います。資源を無駄にしないSDGsの考え方も浸透してきて使える物は捨てないで再利用する、という経験や価値観は子どもにとって良い教育にもなります。子ども自身がこうした仕組みに関心を持つことで循環型社会を推し進めるのに役立つかもしれません」。
「さくらや」では地域の特性に合わせて、洗濯や刺しゅう取りの仕事を障害者就労支援施設や高齢者施設、若者支援団体と連携して行うなど、地域で循環できる仕組みも取り入れている。制服やランドセルの再利用が広がることで「共助」の精神がさらに社会に浸透していくことを期待したい。
※「さくらや」は店舗により取扱いや寄付(買取)の方法が異なるので、各店舗のホームページをご確認ください。