物心ついたときから始めていたレスリングで実績を積み、東京五輪代表直前まで闘った中村はなぜ、MMA転向先にLDHを選んだのだろうか。

　中村は「プロにいくにあたって、やらなければいけないことがいっぱいあるなと感じていた。フリーでやっている選手は、もっとたくさんやらなければならないことがある。そういう部分をサポートしてくれるというのが一つ。もう一つは、ファン時代に本当に強いなと思っていた高谷（裕之）さんと岡見（勇信）さんがマネジメントしてくれているというのが1番の説得力ですね」とうなずく。

　練習環境にも不安はない。キャリアの少ない格闘家の中にはアルバイトをしながら、トレーニングをこなす選手もいるが、「（LDHは）強くなることに集中してくださいという環境。週に1回でも出勤しなければいけないとかになると、パフォーマンスに差は出てくると思う。少しでもバイトや仕事にエネルギーを使うんだったら全部、練習・栄養・休養に努めたいです」と満足そうだ。

　高谷総監督は、中村の同ジムへの所属契約継続決定後に「UFCのチャンピオンを目指している。そこに契約するための1番の近道を選んでいこうと思っています」と豪語していた。

　中村もこの言葉を信じている。同門の宇佐美正パトリックはUFC契約への具体的なプランを語っていたが、中村は違った。

「今は強くなることに集中するだけでいいかなと思いますね。どこで試合をしてというのは所属しているLDHの力がとても大きい。道筋は高谷さんたちが作ってくれると思います。そういうのもLDHを選んだ理由の1つです」

　後輩からの信頼も厚い。宇佐美は「一緒にいれば自分も強くなれる」と共鳴していた。

　中村は「パトもかわいいところ、悪く言えばまだ未熟なところがある。そういうところで損しちゃう部分があるともったいないので、そういうことがないようにいろいろまねしてくれるのはいいのかなと思いますね」

　さらに「本当にかわいいし、でも持っている技術は一級品だし、お互いリスペクトありつついい関係で過ごしていますね」と慕う後輩に言葉を送った。

「自分の最大の敵は自分」とよく言うが、すでに最大の敵の攻略法は見つけた。“心”との向き合い方を知っている中村が見せる格闘家人生に目が離せない。

※高谷裕之の高の正式表記ははしごだか

□プロ・アマ戦績問わず出場可能な格闘技イベント「『EXFIGHT-4』road to POUND STORM」が2月27日に開催される。ABEMAで午後6時から完全生中継。LDH主催「FIGHTER BATTLE AUDITION」の様子を追いかけた密着番組ABEMA「格闘DREAMERS」でも注目を集めた“イケメン格闘家”鈴木崇矢も出場予定だ。