たった1行のセリフに隠された感情 藤原季節が23歳新人監督から気付かされたこと
コロナ禍となり自宅で映画鑑賞「インディーズ、メジャーに関わらず必要なもの」
映画は自身の原点だ。「(コロナ禍で)自宅での時間が増えると、大作ばかり観ていました。大好きなアル・パチーノの出演作とかを見ていましたが、先日は、インディーズ映画を見て、衝撃を受けました。『フタリノセカイ』(公開中)というトランスジェンダーの男性とシスジェンダーの女性カップルの話で、2人には子供が作れない。そこである決断をするシーンがあるんですけども、幸せにはあらゆるカタチがあっていいんだという希望の描き方に感動しました。そんな体験をすると、インディーズ、メジャーに関わらず、映画体験は必要なものだと改めて実感しました」。
藤原もそんな体験を与えられるような新しい映画との出会いを求めている。「新しい何かに出会うときって、自分を解体しないと出会えないんじゃないかな、と思っています。常に自分を疑ってみたり、自分は間違っているかもしれないと考え続けて、誰かが書いたセリフを言ってみた時に出会えるような気がします。そんな破壊と再生の旅を続けたいと思っています」。
「中村屋酒店の兄弟」は佳作というべき小作だが、藤原にとってはターニングポイントになったようだ。
□藤原季節(ふじわら・きせつ)1993年1月18日生まれ、北海道出身。2014年、「人狼ゲーム ビーストサイド」で俳優デビュー。主な出演作に、「ライチ☆光クラブ」(15)、「ケンとカズ」(16)、「全員死刑」(17)、「止められるか、俺たちを」(18)、「his」(20)、「佐々木、イン、マイマイン」(20)、「くれなずめ」(21)、「明日の食卓」(21)、「のさりの島」(21)、「空白』(21)、ドラマ「監察医 朝顔」(20)、大河ドラマ「青天を衝け」(21)などがある。映画「この日々が凪いだら」(常間地裕監督)、映画「その消失、」(狩野比呂監督)が現在公開中。待機作に8Kスペシャルドラマ「海の見える理髪店」(BS8K/22年3月下旬、BSプレミアム22年4月以降放送予定)、映画「わたし達はおとな」(加藤拓也監督/22年6月10日公開予定)ほか、多数控えている。第42回ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞、第13回TAMA映画賞最優秀新進男優賞受賞。