ロシア攻撃にウクライナの柔道家ビロディド悲痛 炎と黒煙に「胸は引き裂かれています」
ロシアがウクライナに侵攻した24日、ネット上には柔道界から嘆きの声が上がった。
溝口紀子氏「プーチン大統領、精力善用、自他共栄!柔の精神を忘れてはいけません」
ロシアがウクライナに侵攻した24日、ネット上には柔道界から嘆きの声が上がった。
プーチン大統領は黒帯の柔道家として知られ、少年時代はサンクトペテルブルク市の柔道クラブで習い、30歳手前まで鍛錬していた。ソ連杯3位、レニングラード選手権優勝などの強豪だった。
大統領に就任した2000年には自身の強い要望で、柔道の総本山「講道館」(東京・文京区)訪問が実現。あいさつでは、「畳の上に立ちますと、お客さんでなくマイホームにいるような気がしますし、柔道選手の中にいますと、友人の中にいるのではなく家族と一緒にいるという気持ちになります」と柔道愛を語り、「日本国民とロシア国民の親交のために頑張りたい」と意気込みを示した。白い柔道着姿で練習を披露し、多彩な技を繰り出し、講道館から六段を授与されている。
プーチン大統領は、16年12月に再訪した際に、嘉納治五郎師範のレリーフと「精力善用」「自他共栄」の書があしらわれた盾を贈られている。力で相手を威圧するのではなく、人の役立つことに使い、助け合って共に栄える世の中を目指そうという意味が込められる。柔道家なら、誰もが心に刻む言葉だ。
ウクライナへの攻撃は、柔道精神に反する行為とも受け取られ、ネット上では「武道家を名乗らないで」と厳しい声が上がった。バルセロナ五輪銀メダリストの溝口紀子氏は「プーチン大統領、精力善用、自他共栄!柔の精神を忘れてはいけません。そして、ウクライナにも柔道家がいることを!」とツイートした。
東京五輪柔道女子48キロ級銅メダルのダリア・ビロディド(ウクライナ)はインスタグラムのストーリーズに故郷の首都キエフが爆撃され、炎と黒煙が上がる写真を投稿。「信じられない。私の胸は引き裂かれています。全世界の皆さんと祈ります」と、悲痛なメッセージをつづった。
ビロディドは過去2回世界選手権を制した軽量級の女王。長身から繰り出される柔道技が特徴で、モデルのような美貌は日本でも広告に起用されるなど人気が高い。
広場にウクライナ国旗を背負って立つ女性の画像とともに、「今日、私はキエフでの銃声で朝6時に起きました。私は言葉を失い、とても怖く、私の家族と国のために祈っています。ロシアが爆撃を始め、戦争が始まった。つい最近まで、こんなことが起こるとは思ってもみませんでした。なぜ? なぜ人々の生活を台なしにするのでしょうか? ロシアとベラルーシよ、やめろ! 私たちは平和を望み、生きたいです!」と、祈るように記した。