“歴史つながり”芸人・房野史典&研究家・河合敦 「背水の陣」で臨んだ制作背景

吉本興業の歴史好き芸人・房野史典氏と歴史研究家・河合敦氏(以下敬称略)との共著「超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす 面白すぎる!日本史の授業」(あさ出版)が、24日に発売された。本書は房野が歴史概要や通説を紹介しながら河合に質問し、河合がさらに詳しい最新の歴史を解説する“往復書簡スタイル”の歴史本。飛鳥時代から幕末までを扱っている。本書の発売を記念し、東京・六本木の本屋「文喫」でトークショーが行われた。インタビュー後編では、トークショーの様子を紹介する。

「超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす 面白すぎる!日本史の授業」を発売した房野史典(右)と河合敦(左)
「超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす 面白すぎる!日本史の授業」を発売した房野史典(右)と河合敦(左)

「こんなひどい出版社ない(笑)!」 年末に泣きながら原稿を書いた河合

 吉本興業の歴史好き芸人・房野史典氏と歴史研究家・河合敦氏(以下敬称略)との共著「超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす 面白すぎる!日本史の授業」(あさ出版)が、24日に発売された。本書は房野が歴史概要や通説を紹介しながら河合に質問し、河合がさらに詳しい最新の歴史を解説する“往復書簡スタイル”の歴史本。飛鳥時代から幕末までを扱っている。本書の発売を記念し、東京・六本木の本屋「文喫」でトークショーが行われた。インタビュー後編では、トークショーの様子を紹介する。(取材・構成=コティマム)

 今回の「超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす 面白すぎる!日本史の授業」は、新型コロナウイルスが拡大する前の約2年前に企画が持ち上がったという。完成までに2年という長い月日がかかった本書の道のりを、2人が振り返った。

河合敦(以下河合)「初めてですね、本が2年出なかったのは。だいたい早くて依頼から3~4か月で出るので、僕は企画自体を忘れてました(笑)。最初に房野さんから何本か原稿が来て、僕がすぐに書いて。それから1年くらいたってまた房野さんから何本か原稿が届いて書いて。もう出ないんだろうなと思ってました(笑)」

房野史典(以下房野)「僕が書かなきゃ始まらない。俺が遅かったってことです(笑)。確かに2年くらい僕が引っ張った……。言い訳しか出てこないですけど、書けば書くほど凝りだして。(学説や資料などを)インプットしている時間が結構あったので、企画が持ち上がってから1年くらい手をつけていなかったかも……。読むと分かるんですけど、先へ進めば進むほど詳しくなって、僕のパートさえも骨太になっています。河合先生が『忘れてました』とおっしゃってたけど、よかったですね……2年後に出来上がって」

 本書は房野の質問に河合が答えるというスタイル。当初、河合のもとに房野から5本ほど原稿が届いた。次にまとめて原稿が届いたのは1年後。河合は発売日に合わせて猛スピードで執筆することに……。

河合「急に(編集さんから)、『河合先生、原稿できました』と。それが2021年の11月30日くらい。『12月10日までによろしくお願いします』って。10日間で書けって!ちょっと無理なので、『年末年始で書きます』と言って泣きながら年を越して、1月3、4日くらいに書き終えて出しました。多少遅れてもいいじゃないかと思ったんですけど、ツイッターで『2月24日に発売する』とか書いてあって!『まだ書いてないんだけど! こんなひどい出版社ないだろ』と(笑)。房野さんにLINEで『ひどいですね』って送ったら、房野さんまで『河合先生と共著が出ます』って宣伝しちゃった(笑)。背水の陣で挑みました」

房野「僕まで先生を追い込んじゃった」

河合「よく今ここにいるな……。当時は休みなく、紅白歌合戦も見ずにやりました。大みそかに編集さんとやり取りしてますからね。元旦に『まだですか』って連絡が来て、ものすごいプレッシャーでした(笑)」

房野「僕は紅白も見たし、お正月もめちゃくちゃゆっくりしてました(笑)」

河合「2年近く待って1か月で書いた。ホント、まじめに書いたので素晴らしい内容になってます!」

 本書の特徴である“往復書簡スタイル”についても話が及んだ。

房野「この本は、房野がストーリーや歴史の外観を語り、『最近の歴史はこうなっている、どうでしょうか』と質問する。そこに河合先生が答える形になっています」

河合「江戸時代の教育って、『往来物』といって手紙の往復でやり取りをしていたので、そういう意味では伝統的な教科書のあり方ですね。結構、日本人の遺伝子的には学びやすくなっているのかなと思います」

房野「往来物は寺子屋でやられていたものですね」

河合「房野さんが今の歴史や通説を分かりやすく紹介して、僕がさらに最新の歴史を書くことになってたんですけど、それがだんだんおかしくなって……。この人自身がめちゃくちゃ細かい新説を書いてきた(笑)。非常に困って、最初は対抗してもっと細かく書いていました。でも本を見ていただければ分かりますが、戦国時代の北条早雲とか、房野さんがものすごく詳しい! だから僕は早雲の解説はやめて、明智光秀について書きました(笑)。往復書簡になってない(笑)」

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