早大政経入試、数学必須に評価の声 現役学生も“改革”歓迎「数学の知識は必要」

東京・新宿区の早稲田大学で20日、政治経済学部の入学試験が行われ、多くの受験生が狭き門に挑んだ。ワセダの看板学部である「政経」は、21年4月入学の合格者を選考する2021年度一般選抜から入試制度に大ナタをふるった。大学入学共通テストを利用して初めて数学(数学I・数学A)を必須科目とする抜本的な改革を実行。数学を嫌う受験生が多かったのか昨年の受験者数は3割も減ったが、「難関化が進み優秀な学生が集まった」と教育界からは評価する声が多く上がっている。

早稲田大学の看板学部である政経学部で入学試験が行われた【写真:ENCOUNT編集部】
早稲田大学の看板学部である政経学部で入学試験が行われた【写真:ENCOUNT編集部】

「総合問題」は日本語と英語の読解力と記述力が必要

 東京・新宿区の早稲田大学で20日、政治経済学部の入学試験が行われ、多くの受験生が狭き門に挑んだ。ワセダの看板学部である「政経」は、21年4月入学の合格者を選考する2021年度一般選抜から入試制度に大ナタをふるった。大学入学共通テストを利用して初めて数学(数学I・数学A)を必須科目とする抜本的な改革を実行。数学を嫌う受験生が多かったのか昨年の受験者数は3割も減ったが、「難関化が進み優秀な学生が集まった」と教育界からは評価する声が多く上がっている。

軽トラからセンチュリー、バイクにバギー…大御所タレントの仰天愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)

 政治経済学部一般選抜の学科別募集人員は政治学科100人、経済学科140人、国際政治経済学科60人の計300人。この日は午後1時から3時まで「総合問題」が実施された。受験生は1月15日と16日に行われた大学入学共通テスト(旧センター試験)で課された科目のうち数学(数学I・数学A)を含む4教科4科目(合計100点)に加え、別途この日の「総合問題」に取り組んだ。試験を終えた受験生は「英語がかなり難しかったです。選択問題もよく分からなかった」と肩を落とした。

 この聞き慣れない「総合問題」とはどのような試験なのか。大学ホームページには「日英両言語による長文を読み解いたうえで解答する形式とし、記述式解答を含む」との説明がある。昨年は大問1として日本の少子高齢化を扱った論文について正しい説明を選ぶ選択問題と高齢者の生活支援に有効な政策を受験生に考えさせる記述問題が出された。大問2は英語で書かれた環境倫理学に関する論文の読解、大問3も英語の問題で平和的抗議に関する自身の考えを英語で書く英作文問題だった。これらを2時間で解答するためには高度な処理能力と分析力、さらに思考力、記述力が必要だ。政経学部がどのような人材を求めているのか、がよく分かる試験と言える。

 現役の政経学部生は「私は政経学部が第一志望でした。数学が入試で必須になったのは良いことだと思います。経済学や統計学では数学的な思考が求められますし、少なくとも数学の知識は授業で必要とされますから」と入試改革を歓迎する。また、近年、政経学部は英語の授業にも力を入れており、20人ほどの少人数教室を充実させている。早稲田大の教員は「政経学部は女生徒の割合が増えてきてますし、他大学に比べて個性あふれる生徒が集まっているように感じます。授業でも奇抜な考えを臆せず発言する学生がいっぱいいます」と打ち明ける。

保護者控室として使用された大隈講堂【写真:ENCOUNT編集部】
保護者控室として使用された大隈講堂【写真:ENCOUNT編集部】

 政経学部が入る旧3号館は老朽化のため建て替えられ、旧校舎の外観を再現した新3号館が2014年9月に竣工した。地下2階、地上14階、高さ67.84mの新校舎は正門から向かって右側にそびえ立っており、大隈銅像と大隈講堂の間に位置している。外見も中身も大きく変貌した政経。30年以上前に卒業したOBは「当時は学生一流、校舎二流、教授三流と言われていましたが、学生も校舎も一流になったんですね。すさまじい変化です。肝心の教員の質も当時はワセダ純血主義で何年も使い古したノートをただ読経しているだけの教授が多かったですが、昨今は多彩な分野から採用していますし、採用の面接では模擬授業も課せられるようです。英語教育などグローバルに活躍する学生を育てるためには教員も一流にならなければなりません」と話す。

 ただ、政経学部の入学者の半数は付属校出身や指定校推薦で、共通テストや一般選抜試験を受けて入学した学生は半数を切っている。先のOBは「私が在学していた頃は東大落ちして仕方なく入学したものの、授業には一切出席しないで東大再受験に挑む学生も多かった。それに比べれば付属校や指定校推薦で入学した生徒は少なくとも表向きは政経学部を第一志望としているわけですから、喜ぶべきことかもしれません」と政経の変化を受け止める一方で、「それでも当時はワセダに憧れて政経、法、商、一文、教育など全学部を併願する受験生がいたり、入学試験一発勝負に挑む猛者がいてバンカラ気質の学生も多かった。優秀でスマートな学生が増えたのはいいのですが、当時のワセダの雰囲気が消えていくのは寂しい気もしますね」。

 地方出身の在校生は「地方から見ると早稲田も慶応もあまり違いはありません。最終的には個人の好みや大学に対する友人の印象に頼るところが大きいです」と話す。この日の受験生も「早慶合わせて6学部くらいに出願しています」と話していた。世界が急速にグローバル化する中、早慶の勢力図がどのように変化していくのかも見逃せないところだろう。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください