古内東子が明かすラブソングの法則 時代に左右されない“ずっと大事にしてたもの”

歌詞やメロディーはピアノに向かった瞬間に思い付く【写真:塩見徹】
歌詞やメロディーはピアノに向かった瞬間に思い付く【写真:塩見徹】

古内東子を支えてきた6人が奏でる6通りのピアノ

 そんな大切なピアノが核となるようなアルバムを作りたくて、これまで私の作品のプロデュースやアレンジ、ライブの演奏に携わっていただいた6人の方々に今回はピアニストとして参加していただき、それぞれ格好良いピアノ演奏を披露してもらいました。

 1曲目の「虜」という曲の演奏は、最近ライブで一緒に演奏している井上薫さんというミュージシャンで私がデビューしたときはまだ生まれていなかったという衝撃(笑)。彼のみずみずしい感性が前面に出ていて1曲目にふさわしい作品になりました。2曲目の「夕暮れ」のピアノは長年、私の作品のプロデュースやアレンジを担当いただいているプロデューサーの河野伸さんにお願いしました。一つ一つのタッチがとてもきれいで改めてアレンジャー、プロデューサーの前にすてきなピアニストなんだなって感動しました。

 3曲目「体温、鼓動」は作品の中で1番ジャジーな演奏を披露していただいた草間信一さん。4曲目「時はやさしい」は松本圭司さんのラテン風のジャズが楽しめます。5曲目「動く歩道」は、数多くのアーティストのプロデュースを担当されている森俊之さんの演奏で巧みな音作りや重ね方に圧倒されました。6曲目「だから今夜も夢を見る」は、代表作「Hourglass」(96年)をはじめ、初期からお世話になっている中西康晴さんのパワフルでソウルフルなピアノ演奏が楽しめる作品です。7曲目「この夜を越えたら」のピアニストは私、古内東子が担当しました。ライブで演奏しているような感じで弾いてみようと思いましたが、とっても緊張しました(笑)。

 最後に30年前のデビュー曲「はやくいそいで」をピアノトリオによる演奏で新たにレコーディングしました。河野さんに弾いてもらったピアノが当時の「ポップな私」と今の「大人になった私」をしっかりとつないでくれて。きっと皆さんの30年を振り返るきっかけにもなるのかなって思っています。私も当時「はやくいそいで」がデビュー曲になったことが意外だなって思っていたことや生まれて初めてCDのジャケット写真を撮影したあの頃を思い出しながら作っていたような気がします。

 そんなラブソングを作る上で大切なピアノは私にとって「もう1つの言葉」です。頭の中にぼんやりと浮かんでいる自分の気持ちや考えをピアノは話す言葉ではなく音という言葉に変えてくれるんです。今回はこんな曲を作りたい。そう思ってピアノに向かった瞬間に自分の頭の中にあったものや漠然と考えていたことが音になって形を成していく。デビューから30年、古内東子の言葉をずっと音という言葉にして支えてくれていたのはピアノだったんです。

□古内東子(ふるうちとうこ)1972年、東京都出身。93年2月21日にシングル「はやくいそいで」でデビュー。恋と愛の歌を書き歌い続け、デビューから30年目にあたる2022年2月21日に通算19作目となるオリジナルアルバム「体温、鼓動」をリリース。

古内東子
公式HP:https://www.tokofuruuchi.com/
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次のページへ (4/4) 【動画】古内東子の代表曲「誰より好きなのに」アコースティックギターとピアノによる生演奏
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