北京五輪フィギュアスケートで話題のワリエワ、専門家に聞いた“禁止薬物”の副作用
北京五輪フィギュアスケート女子フリーで、カミラ・ワリエワ(ロシア・オリンピック委員会)はドーピング問題の影響で精彩を欠き、4位に終わった。金メダル候補を襲った悲劇が世界に衝撃を与える中、ワリエワの検体から検出された禁止薬物トリメタジジンが他の汚染サンプルの200倍と報道され、「まだ15歳のワリエワの体は大丈夫なのか?」と波紋を呼んでいる。服用により、どんな副作用があるのだろうか。
トリメタジジンを含む3種類の薬物が検出される
北京五輪フィギュアスケート女子フリーで、カミラ・ワリエワ(ロシア・オリンピック委員会)はドーピング問題の影響で精彩を欠き、4位に終わった。金メダル候補を襲った悲劇が世界に衝撃を与える中、ワリエワの検体から検出された禁止薬物トリメタジジンが他の汚染サンプルの200倍と報道され、「まだ15歳のワリエワの体は大丈夫なのか?」と波紋を呼んでいる。服用により、どんな副作用があるのだろうか。
今回問題となったワリエワの検体は、昨年12月25日のロシア選手権で採取されたもの。トリメタジジンは狭心症治療薬で、以前に混入が証明された別の選手から検出された量のおよそ200倍だったと、海外メディアに報じられた。
ワリエワの弁護士は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に対し、トリメタジジンは心臓疾患を抱える祖父の薬でワリエワが同じグラスを誤って使用したことが原因と主張した。一方で、その量について、ネット上では「祖父のグラスを共用した位で検出される量じゃない」「まだ成長過程の子供に摂取させていたなら虐待、大問題」「もうどこかに異常が生じているのではないか」「もはや人体実験の領域」など心配の声が上がっている。
また、ワリエワの体からは、2種類の薬「ハイポクセン」と「L―カルニチン」も検出された。禁止リストには入っていないが、一部でスポーツ選手の使用に規制を求める声もある薬だ。トリメタジジンと組み合わせた“カクテル”の服用で、能力向上を図っていたとの指摘もある。
ワリエワの体から検出されたトリメタジジンの量は、1ミリリットルあたり2.1ナノグラムだった。
新日本プロレスのリングドクターで弘邦医院の林雅之院長は、トリメタジジンについて「適量であれば特に問題はないです。量を使ったとすれば、頭が痛くなったり、フラフラしたり、体がだるかったりという副作用は出ると思います」と話す。
特に血圧低下には注意が必要という。「血管が開く薬ですから、血圧が下がりすぎて、以前のバイアグラの時みたいに死亡したりする可能性がないわけじゃない。最悪のケースですが、そのくらいのことは起こる可能性はある」と警鐘を鳴らした。
ワリエワはまだ15歳。誤飲の可能性を除けば、「ある程度、大量に飲んだとすれば、しかるべき人が処方したと思う。意図的にたくさんの量を飲んでいた」(林院長)となる。
平昌五輪ではロシアからの五輪選手(OAR)のボブスレー選手がトリメタジジンの陽性で失格となった。
ドーピング検査で陽性反応を示しながらスポーツ仲裁裁判所(CAS)の判断でフリーの演技は認められたワリエワ。疑惑の中の出場は裏目となり、返って騒動を大きくした。故意か過失か、周囲の大人による圧力や知恵があったのか、真相究明が待たれる。