「なんでここにいるの!?ってコグマはビックリしてました。久しぶりに会えたのがホントうれしすぎて、2人とも泣きながらしゃべってましたね（笑）」

　このとき、葉月はコグマの復帰願望をうすうす感じ取っていた。スターダム10周年、21年3・3日本武道館でのバトルロイヤルでコグマはOGとしてリングに立っていた。コグマはトレーニングを積めば動きが戻ると確信し、正式復帰を決意した。葉月は、その姿を観客として客席から見守っていた。

　コグマは5月に復帰を発表し6月から試合に戻った。そして10月には葉月がカムバック。葉月のデビュー戦では先に試合をしていたコグマを指名したが、復帰戦も同じカード。とはいえ初シングルがリング上で袂を分かつきっかけだったのとは対照的に、大阪城ホールでの試合は2人をチームとして結びつけることとなったのである。

　かつては別ユニットに所属していたこともあり、葉月、コグマとも同期をライバルとして敵対視していた。とくに葉月はデビューの瞬間、「仲良く一緒に頑張ろうねっていう同期から負けられないライバル」に変わったという。2人がタッグを組んだのも15年1・18後楽園の一度だけ。このときは彩羽匠（現マーベラス）＆世羅りさ（当時アイスリボン、現プロミネンス）と対戦。越境チームの引き立て役に甘んじたのだ。

　しかし、ここからは違う。コグマの勧誘もあり、葉月は岩谷麻優率いるSTARSに所属した。葉月＆コグマ組の正式始動である。これこそが、2人が練習生時代から望んでいた姿だ。

「デビュー前から仲がよくて、一緒に住んだり、どこに行くにも一緒だったんですけど、デビューしてからはギクシャクした感じになってしまって。でもお互いが一度やめてから戻ってきて、いろいろあった末に今タッグを組んでるので、やっと組めてるねって感じですね」

　デビュー以降、葉月はずっと反体制側で闘ってきた。新人時代は「世IV虎（現・世志琥＝シードリング）2世」と呼ばれ、クイーンズクエスト、大江戸隊も正規軍的位置づけのSTARSと対抗していた。それだけに、初めてのベビーフェイス、STARS入りには戸惑いもあったという。しかしながら、岩谷のいるSTARSこそスターダムの原点という考えが、今の葉月の原動力にもなっているのだ。

「戻ってきたスターダムは外から来た人間が多いなって。それが一番の印象ですね。だから私は生え抜きにこだわりたいと思いました。今のスターダムって麻優さんたち一期生がいたから現在に続いているわけであって、私はスターダムの歴史を大事にしたいと思ってます」

　葉月は一期生ではない。が、スターダムの歴史を目の当たりにし、原点の残る団体を体感してきた。そこを重視したいという葉月の考えには合点がいく。

「最近は（ジュリア率いる）ドンナ・デル・モンドがメインを任されることが多いと思うんですけど、やっぱり（正規軍の）STARSが大会を締めないといけないと思うんですよ。最後はSTARSが勝たないとイヤだなって私は思ってます。なので、しっかりと生え抜きを育てていきたいですよね。個人的にはやっぱり白いベルトを狙ってますし、生え抜きの意地をしっかり持って闘っていきたいと思ってます」

　葉月といえば、鍛え抜かれたグッドシェープが持ち味のひとつだった。カムバック後もキレのある動き同様、相変わらずのグッドシェープを維持している。が、ブランク中にはさすがに体重が10キロほど増えたとのことで、「やめてからはトレーニングってしなくていいんだってなっちゃって。あと好きなもの食べまくろうみたいな。そしたら太る一方でしたね（笑）」。

　それでも復帰に合わせて戻してきたのだから大したもの。まだまだ本人は納得していないようだが、10・9大阪城ホールでの復帰戦や11・3川崎で林下詩美のワールド・オブ・スターダム王座にメインで挑戦など、復帰早にビッグマッチの主要カードに名を連ねているのだから、やはりプロレスの申し子ということになるのだろう。コグマと保持するゴッデス王座もどこまで防衛を伸ばせるか（V2がかかる次期防衛戦は2・23長岡でのvs白川未奈＆ウナギ・サヤカ組）。葉月、コグマとも、復帰は大正解となったのである。