私立中入試2次募集が本格化 東京女子学園は新校舎&校内予備校をPR、校長は慶大学部長を歴任

23年4月に完成する新校舎【写真:ENCOUNT編集部】
23年4月に完成する新校舎【写真:ENCOUNT編集部】

最大のアピール点は創立120周年を迎える23年4月に完成する新校舎

 同校はカリキュラムの充実化に取り組んでおり、中3の夏休みに米シアトル近郊の一般家庭に3週間ホームステイする海外教育研修や裁判を傍聴して校内での模擬裁判へとつなげる体験学習、森永乳業の協力のもと機能性素材の調査・分析、市場トレンドの見方、アイデアの出し方など女子高生が求める商品開発に挑戦するキャリア学習、さらにはコンピュータサイエンスやデータサイエンス、クリエーティブなワークショップを行う探求学習など、多彩な学習コースをそろえている。ウガンダの子どもたちへの学習・健康サポートプロジェクトとして文房具やマスクの寄付・発送を行うボランティア活動も全校的に行った。礼法や落語教室など日本文化に深く触れる授業もある。

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 慶応大学総合政策学部学部長を務めた数学者の河添健氏が20年4月から校長を務めており、校内には「TEAL」と呼ばれる校内予備校を設営。大学受験専門のプロの講師と学園の連携で難関大学合格を目指している。同校の最大のアピール点は創立120周年を迎える23年4月に完成する新校舎。メディアセンター、カフェラウンジ、多目的ホール、教員室、特別教室、普通教室、和室、体育館、ダンスホール、音楽室、屋上テニスコートが12階建てのビル内に入る。

 大学合格実績は過去5年間(卒業生437人)をまとめて公表しており、国公立大学は東京医科歯科大、東京外国語大、東京芸術大、鳥取大、大阪市立大、横浜市立大などに1人ずつ。私立大学は早稲田大11人、慶応大1人、上智大4人、東京理科大3人、学習院大11人、明治大9人、青山学院大10人、立教大8人、中央大17人、法政大24人。他には日本女子大34人、明治学院大30人、東洋英和女学院大28人、昭和女子大26人などが目立つ。

 川添氏は慶大SFC研究所の公式YouTubeチャンネルの動画でダリの絵画を紹介しながら「日本の15歳の中学生は数学が嫌い。世界に比べて圧倒的に多い。教え方が悪いの一言です」と穏やかな口調ながら日本の数学教育を厳しく批判している。今後、川添氏の手腕が中高の教育現場で発揮されていくのだろうか。

「東京女子学園のカリキュラムは暗記より思考力や探求心、グローバルな視点を育てるといった方向性がはっきりしていて好感が持てます。ただし、それらをうまく運営できるかどうかは教員の質にかかっています。毎年ごとの進学実績は明確にしていませんが、新校舎による施設の最新化や校内予備校の活用で今後、難関大合格者を増やしていくかもしれません。とはいえ難関大学に合格することだけが人生の目標ではありません。保護者は自身の子どもがどんな人間に育ってほしいのか、学校側はどのようにして生徒の力を伸ばしていこうとしているのか。これらをじっくり考えることも大切でしょう」(学習論に詳しい大学講師)

 ドラマでも描かれたように御三家など超難関中の入試は過熱化の傾向があるが、偏差値にかかわらず個性的で豊かなカリキュラムをそろえている学校はいくつもある。2次募集を実施する私立中の中からもそうした学校が見つかるだろう。

次のページへ (3/3) 【動画】その理由を解説する河添健校長
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