「宇宙戦艦ヤマト」小野大輔が振り返る10年の旅路「古代進の立ち位置は僕と同じ」
1970年代にテレビ、映画で一大ブームを巻き起こした人気SFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメイクシリーズで、古代進を演じる人気声優の小野大輔(43)。最新「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章-STASHA-」(公開中)に合わせて、10年間のヤマトでの旅を振り返った。
小野大輔インタビュー、「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章-STASHA-」
1970年代にテレビ、映画で一大ブームを巻き起こした人気SFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメイクシリーズで、古代進を演じる人気声優の小野大輔(43)。最新「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章-STASHA-」(公開中)に合わせて、10年間のヤマトでの旅を振り返った。(取材・文=平辻哲也)
2012年4月劇場上映の「宇宙戦艦ヤマト2199」から10年。「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」、「『宇宙戦艦ヤマト』という時代 西暦2202年の選択」が作られ、1979年放送の「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」を再構築にした最新作では、艦長となった古代率いるヤマトが、かつての宿敵デスラーともに、暗黒の大艦隊デザリアムとの闘いに挑む。
「10年前に古代進に出会ったときは、1人では背負いきれないぐらい大きな存在でした。『2205』での旅を終えて、古代進イコール小野大輔になったと実感しています。物語の根幹にあるのは、人と手を取り合うこと、“大”いなる“和”。それが作品の中だけではなくて、自分の生き方にも重なったんです。この役に出会えて、ヤマトに乗って旅をできて、本当に役者冥利(みょうり)に尽きます」と明かす。
原作で古代を演じていたのは、1995年に亡くなった名声優・富山敬。その役を引き継ぐことにプレッシャーも大きかった。「日本のアニメを一から支えてきたたくさんの声優の中でも富山敬さんは本当に偉大な方だったと思います。印象に残る作品はたくさんあります。『ヤマト』だけではなく、『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリー役、外国映画の吹き替え。富山さんの声って唯一無二なんですね。ただ、偉大すぎて、自分がそれをなぞろうっていう気持ちが一度も起こらなかったんです」と振り返る。
リメイクシリーズでは、古代のキャラクターが大きく書き換えられた。「原作の古代進は猪突猛進の熱血漢で、男気のあるヒーローだったと思います。でも、『2199』の古代はずっと迷っています。そんな葛藤の中で自分なりの覚悟と決意を持って進んでいくヒーロー像ですね。後ろを向いてしまったり、迷って進めなかったりするっていうところは、実は僕とリンクする部分が多かったんです。だから、自分を投影することができ、演じるほどシンクロ率が上がっていった。偉大な富山敬さんがいたからこそ、自分の古代進にシフトできたのかも知れない」。
古代同様、10年前の小野には迷いもプレッシャーもあった。「自分がやらなきゃと思い詰められたこともありましたね。最初は1人で背負おうと思っていましたし、背負いきれないかもしれないという不安に駆られて、つらい時期もありました。そんなときに、結局、周りの人に助けてもらっていることにも気づきましたし、生きていくというのは、人との絆で前へ進むんだなと感じました」。