NHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」（毎週月～土曜、午前8時）の3代目ヒロイン・ひなたの初恋の相手である外国人ビリーを演じた少年は何者なのか。劇中、流ちょうな英語を披露していた。所属事務所によると、今回の朝ドラが俳優デビュー作。名前は幸本澄樹（こうもと・じょうじ）。東京出身で2012年5月26日に日本人とイギリス人の間に生まれ、英語と日本語はもちろんフランス語も堪能という。素顔を探ると芝居とは別に、世界が注目する横顔が明らかになった。

「お芝居という新しい経験ができ、ありがたいと思いました。もっとお芝居の勉強をしたいと思いました」

　初めてのドラマの撮影に緊張したというが、「いざ始まってしまうと演技に集中できるので大丈夫でした」と将来の大物を予感させた。大物感は、今、興味や関心があることを尋ねると一層大きくなった。

「自分たちのしたことや毎日の決めたことが環境に何らかの影響を与えてしまっています。大人になってから行動したのでは遅いので、今、自分に何ができるか毎日考えて行動しています。小さいことの積み重ねが大きくなるので普段の生活で、できることをしています」

　9歳とは思えない発言。具体的に何をしているというのか。

「食べ物も食べ残さないようにしたり、水や電気を無駄にしないように気をつけています。土曜日にはゴミ拾いに行ったりします。東京以外の小学校で国連が作った環境のアクティビティブックの説明をしたり、ニュースを見て、自分のできる方法で発信してみんなで環境を守ることが当たり前になるように、いろいろと学んでいます」

　昨年10月には、国連食糧農業機関（FAO）が率いてオンラインで開催されたワールドフードフォーラム2021のフィルムフェスティバルにはイギリス名で登場し、彼の持続可能な世の中を考える活動が世界配信の形で紹介され、地球を守る子どもとして世界の注目を集めたという。今の目標も驚きだ。

「去年から書き始めている本を終わらせて環境について一緒に考えてくれる仲間を増やすことです。お芝居も頑張りたいです」

　語学力を生かし将来やってみたいことを聞くと大人顔負けのしっかりしたビジョン。

「世界は1つなのでいろんな国の人と直接コミュニケーションをとってその国の文化や状況を知りたいし日本のことももっと知ってもらいたいです」

　地球の環境を守ることに真剣に取り組み、著書も出版予定の9歳。最後にどんな芝居や役をやりたいのかと尋ねたとき、ようやく9歳らしさを感じさせた。

「ひそかにスーパーパワーがある子どもの役をしてみたいです」

　NHKの制作統括・堀之内礼二郎氏は「ビリーという役はキャスティングがとても難しい役でした。脚本を初めて読んだ時から、こんな子に出会えるかな、と不安になるほどでした。ジョージくんと初めて出会ったとき、あ！　ビリーだ！　と心がわきたったのを鮮明に覚えています。品がよくて透明感のあるジョージくんが演じるビリー」と幸本と出会いを喜んだ。