進学実績伸ばす東京農大中高 GMARCH合格者は2年で100人増 名物「大根踊り」は過去のイメージ

東京農大など併設大学への推薦入学率はわずか7.1%【写真:ENCOUNT編集部】
東京農大など併設大学への推薦入学率はわずか7.1%【写真:ENCOUNT編集部】

2月1日の午後に入試を実施 入試科目は「算数・国語」と「算数・理科」の選択制

 ただ、同じ2月1日入試実施と言っても農大中と他校では決定的な違いがある。それは農大中だけ入試を午後に実施しているのだ。この日の集合時間は午後2時15分、同3時15分、同4時15分の3回設定。しかも、入試科目は「算数・国語」もしくは「算数・理科」の選択制だ。各科目とも40分100点で計200点満点となる。

 一体どういう狙いがあるのか。「東京や神奈川の難関中学校の入試は2月1日から3日、4日あたりの午前に集中しているため、同じ時期に午後入試を行えば難関校受験生の併願が期待できます。小学校受験生にとって午前、午後の連続受験は心身への負担が大きいため、2科目とすることでその分、気楽に受験してもらえるという作戦です。このように午後に2科目入試を実施する私立中は増えていますが、特定の2科目が得意な受験生が集中するのでその分、合格点数ラインが上がり学校によっては難易度も高くなります」(進学予備校講師)

 午後入試を実施する学校には他にも魅力があるという。それは特待生制度だ。農大中は第1回(募集定員90人)を2月1日午後に、第2回(同60人)を同2日午後に実施。第3回(同25人)だけ4日午前から国語・算数・社会・理科各40分(100点)で行われた。第1回、第2回、第3回とも、成績優秀者は特待生として1年間の授業料相当額が支給される。特待生候補になった受験生には通知が届くため、希望する場合は規程に従って手続きをすれば実質学費が減免される。同校中等部1年次の入学金は23万円、授業料は43万2000円。維持費、施設設備費などを合計すると年間92万4000円を支払わなければならない。授業料の減免は家計にとって相当うれしい話だ。

 もう一度、公表されている21年主要大学合格実績を振り返ってみよう。現役合格者数は東大1人、京大1人、東工大1人、北大2人、東京農工大5人、東京都立大8人、早大29人、慶大18人、上智大13人、東京理科大28人。他には明治91人、日大72人、中央54人、法政44人などが目立つ。東京農大など併設の大学への推薦入学率はわずか7.1%だった。子息を農大中に入学させた会社員は「準難関校に落ちたためすべり止めで受けたこの中学に入学しましたが、意外にも多くの難関私大や地方国立大の学校推薦型選抜の指定校になっていて、私の子どもはそれを利用して地方の国立大学に入学しました。中学入試では挫折しましたが、結果オーライだったと思います」。

「大根踊り」だけでは捉えきれない農大中入試の実情が興味深い。4日は他に豊島岡女子学園中学でも3回目の入試が行われた。

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