節分は虐待? 伝統守る保育園が掲げる教育的意義「怖がらせることは目的じゃない」

節分の日の2月3日。今年も各地の保育園や幼稚園で豆まき行事が行われているが、ネット上では数年前から「何もしてないのに泣かされる子どもがかわいそう」「節分は幼児虐待では?」との声も上がるなど、賛否両論となっている。節分は虐待にあたるのだろうか。

保育園や幼稚園での豆まき行事にさまざまな意見が上がっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】
保育園や幼稚園での豆まき行事にさまざまな意見が上がっている(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ネット上では数年前から子どもを怖がらせる節分行事が賛否両論となっている

 節分の日の2月3日。今年も各地の保育園や幼稚園で豆まき行事が行われているが、ネット上では数年前から「何もしてないのに泣かされる子どもがかわいそう」「節分は幼児虐待では?」との声も上がるなど、賛否両論となっている。節分は虐待にあたるのだろうか。

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 この日、SNS上では、節分の日に子どもたちを登園させるにあたり、心配する親から不安の声が相次いだ。「うちの園では、先生がガチで鬼を演じるらしく…子供達が阿鼻叫喚」「絶対怖がってトラウマになって登園しぶり悪化しそう…」。過去に2歳の息子が節分の鬼にショックを受け、歩行困難となったことを紹介するツイートもあった。

 投稿には賛同の声が集まり、「こんな行事無くなればいい」「トラウマを植え付けるのは教育の趣旨とは違う」「子供を利用した大人の娯楽になってます」「小さいながら節分が一年で1番嫌いな日やった」「私も保育園のとき号泣した記憶がある」など、さまざまな意見が上がっている。

 保育園側は節分行事をどのように捉えているのだろうか。群馬県桐生市の幼保連携型認定こども園「のびのびこども園」は、地域でも「節分行事が怖い」と知られる保育施設だ。毎年リアルなお面とカツラをかぶった本格的な鬼が訪れ、0歳から5歳までの園児を怖がらせる節分を大切な行事の一つとして行っている。過去にはクレームが寄せられたこともあるというが、須田勝代教頭は「怖い思いを遮断させることが教育ではない」と節分行事の意義を語る。

「不審者や地震など、本当に怖い思いに初めて遭遇するのが危険が迫った場面であることこそ一番のリスクです。節分は先生や保護者に守られた安全な場所で、『怖い』という思いを最初に体験する貴重な危機管理の機会だと思っています。入園の際には保護者にきちんと趣旨を説明し、納得の上で入園してもらっています」

 もちろん、ただやみくもに怖がらせるだけではなく、園側もさまざまなルールを設けている。

「大事なのは怖がらせることじゃなく、子どもが恐怖を克服して立ち向かっていける強さを養うこと。無敵の鬼では子どもも立ち向かえないので、豆が当たったらちゃんと痛がる。怖がりの子や年少の子は、先生と一緒に遠くから見させるだけにする。それから、鬼が来るのは節分の日の10分だけで、その日以外に、言うことを聞かせるために鬼を使うことはありません。それは恐怖で指導力のなさをごまかしているだけですから。怖がる様子を見て大人が笑っているのも好ましくないですね。怖がらせること自体が目的となっているのなら、それは虐待と言われても仕方ありません」

 中には怖がらせることが手段ではなく、目的となってしまっている施設が存在することも事実。節分の日を機に、今一度、教育とは何かを考えるきっかけとしたい。

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