レジェンド武藤敬司に「怖い」と言わせた “真紅の弾道”征矢学が2022年こそ爆発する【連載vol.78】

「大爆発寸前男」征矢学の快進撃がそろそろ始まりそうだ。

真紅に染まった征矢学はノア・金剛の最終兵器【写真:柴田惣一】
真紅に染まった征矢学はノア・金剛の最終兵器【写真:柴田惣一】

毎週金曜日午後8時更新「柴田惣一のプロレスワンダーランド」【連載vol.78】

「大爆発寸前男」征矢学の快進撃がそろそろ始まりそうだ。

 ノア1・16宮城・仙台大会でGHCタッグ王者、武藤敬司、丸藤正道組に拳王とともに挑んだ征矢。ベルト奪取はかなわなかったものの、とことん王者コンビを追い詰めた。

 力比べで圧倒され、リング下で征矢に追い回された丸藤は「獲物を見つけた熊のようだった」と苦笑い。岩のようないかつい体で猛ダッシュし、コーナーでもスピードを落とさずにそのままの勢いで突進してくる征矢を熊に例えた。

 試合前に征矢を“ウドの大木”と見下していた武藤は「ギリギリだった。しんどかった」とぼやいた。実際に征矢のDDT、変型デスバレーボム、弾道(ラリアート)に追い込まれ、何とかフランケンシュタイナーで逆転勝ちしたが、危ういシーンの連続で、まさに薄氷防衛。辛勝後にも、しばしリング上で大の字になるほどだった。

 武藤は「もしかしたら今日、征矢が爆発するんじゃないか、っていう怖さがあった」と振り返る。武藤に「怖い」と言わせたのだから、征矢の底力は本物といっていいだろう。

 征矢は2007年に無我でデビューし、全日本プロレスに入団。11年には大森隆男とGET WILDを結成し大暴れ。大森との軽妙なやり取りも人気を集めた。その後、WRESTLE-1(W-1)を経て、今ではノアを主戦場に定めている。

 全日本では世界タッグ王座、アジアタッグ王座を獲得し、大日本プロレスのBJW認定世界ストロングヘビー級ベルトを巻き、W-1ではチャンピオンシップ、タッグチャンピオンシップを獲得するなど、トップ戦線に君臨していた。

 全日本、W-1、ノアと同じ戦場を歩んで「あいつのプロレス界の親みたいなもんだ」という武藤には「人が良すぎるんだ。良すぎるから、爆発できないでいる」と指摘されてしまった。

 だが、基礎はしっかりしているし、分厚い体もパワーもある。爆発したら手に負えない。金剛に加入してからは武骨で寡黙な男になったが、コメント等で出さない分、逆に内に秘めた情熱はふつふつと燃え上がっているのではないだろうか。

 若かりしWILDの頃の恐れ知らずの言動、トンパチぶりは凄かった。ある動画撮影の際、WILDのコスチューム姿で真冬の街を闊歩。道行く人たちに驚かれても、全く意に介さず堂々としていた。撮影とは言え、その度胸に恐れ入った。

「三つ子の魂百まで」という。根本的な性格は変わっていないだろう。となれば、爆発すればとんでもないことになる。

 丸藤が「しんどかった。これからも今日以上のことを、やれって。これでまた元に戻ったら、何の意味もない」と、厳しいながらも、征矢にエールとも思える言葉を贈った。

 武藤、丸藤2人の言葉は、征矢の胸にどう刺さったのだろう。きっと思うところもあるハズ。今年はデビュー15周年。レスラーとして一番、脂の乗っている時期だ。このまま終わる男ではない。

 いずれにしろ、今回の試合をキッカケに、征矢の大爆発を期待する。

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