「101回目のプロポーズ」劇中音楽は“浅野温子の瞳の輝き”から誕生 西村由紀江が明かす裏話

「今年は寅年だから衣装のカラーは阪神タイガースの黄色で(笑)」【写真:荒川祐史】
「今年は寅年だから衣装のカラーは阪神タイガースの黄色で(笑)」【写真:荒川祐史】

葉加瀬、古澤、高嶋、3人のバイオリニストの違いとは?

――そんな西村さんと同じくクラシックと今の音楽の橋渡し役でもある葉加瀬太郎さん、古澤巌さん、高嶋ちさ子さんなど7人のアーティストによる映画音楽やドラマの主題歌などの名曲カバー集「PURE SWEET」が完成しました。

「古澤さん、葉加瀬さん、高嶋さん、3人とも同じバイオリンという弦楽器を演奏しているのにこんなに響きが違うのかっていうくらい、それぞれに個性があるんです。例えば古澤さんは極上の甘い音色だったり、高島さんはテレビで見る印象とは違う、すごくピュアで真っすぐな響きだったり、太郎さんは優雅でゴージャスだったり。楽器の編成も本当に豪華でタイトルの通り本当にピュアでスイートな気持ちに浸れる作品がそろいました」

――二胡という中国の弦楽器がウェイウェイ・ウーさんのアレンジによってまるでバイオリンのような重厚な響きを味わえるレ・ミゼラブルの名曲「I Dreamed a Dream」も驚きました。

「それはアーティスト集団がアレンジしたからそう感じたんでしょうね。アーティストの皆さんがオリジナル作品に新たな生命を吹き込んでいるので、これまでのサントラを集めたコンピレーション作品とは一味違った楽しめる要素が詰め込まれているんです」

――その中でも西村さんと古澤さんによるデュエットでレコーディングされた「オーバー・ザ・レインボー」はまさに極上という言葉がぴったりのアレンジです。

「名曲中の名曲になりますが、実はこの楽曲のメインテーマの前にあたる部分で歌われている歌詞が『世界が希望のない混乱に満ちた状況になったとしても、きっと虹の道が見つかる』というまさに今の混沌とした時代に希望を与えてくれるような言葉なんです。そこでこのパートから演奏をスタートしてメインテーマにつなげようと思ってアレンジさせていただいたんです」

――西村さんのピアノのイントロが流れると古澤さんのバイオリンがゆっくりとメロディーを奏で始める場面ですね。

「はい。古澤さんとはコンサートで何度も共演させていただいているのに一緒にレコーディングするのは初めてだったんです。今回はその場のひらめきを大切に事前の打ち合わせなしでスタジオに入ってせーので録音したんです。古澤さんはアレンジの意図をすぐに理解されて最初のパートはまるでバイオリンが自らの声で語りかけているように演奏してくださったんです。それは本当に感動ものでした」

――この時代に生まれるべくして生まれた音楽ですね。長引くコロナ禍で思うような音楽活動ができない日々が続いていますが、年末年始はいかがでしたか?

「そうですね。最近また状況が分からなくなってきましたね。その前に年末はクリスマスコンサートを開いて元旦は京都でディナーショーを開いたんです。今年は寅年だから『寅メドレー』を作ったんですよ(笑)」

――寅メドレーですか?

「そう。まずはロッキー3のテーマ『アイ・オブ・ザ・タイガー』、次に寅さんの『男はつらいよ』、『タイガー&ドラゴン』、あと『タイガーマスクのテーマ』ね。締めはもちろん『六甲おろし』(笑)」

――さすが豊中が生んだピアノクイーン! “こてこて”ですね(笑)。

「盛り上がりましたよ(笑)。改めてお客さんから音楽の力をもらっているここ1、2年です」

□西村由紀江(にしむら・ゆきえ)作曲家/ピアニスト。幼少より音楽の才能を認められ、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジア諸国への演奏旅行に参加。マエストロや世界の一流オーケストラとも共演し絶賛を博す。「101回目のプロポーズ」、「子ぎつねヘレン」など、ドラマ・映画・CMの音楽を多数担当するほか、テレビ・ラジオの出演やエッセーの執筆も行う。またライフワークとして「学校コンサート」や「病院コンサート」、被災地にピアノを届ける活動にも精力を注ぐ。

○西村由紀江公式HP
http://www.nishimura-yukie.com/

【リリース情報】
「PURE SWEET ~映画・TV音楽 名曲集~」
2022年1月19日(水)発売
○「PURE SWEET」HP
https://hats.jp/discography/hucd10310/

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