伊東蒼に芽生えた自覚「周囲引っ張る演技を」 16歳で芸歴10年、天才子役から演技派へ

BiSHを聞いてイメージトレーニングする伊東蒼【写真:荒川祐史】
BiSHを聞いてイメージトレーニングする伊東蒼【写真:荒川祐史】

宮沢りえ主演「湯を沸かす―」、古田新太主演「空白」でも存在感

 6歳のときにTBSドラマ「アントキノイノチ~プロローグ~天国への引越し屋」(11年)でデビュー。宮沢が余命2か月の母親を演じた「湯を沸かすほどの熱い愛」(16年、中野量太監督)では血縁関係のない娘役、今年も、古田新太主演の「空白」(吉田恵輔監督)では、スーパーでの万引きをきっかけに交通事故に遭ってしまう娘役が印象深い。

「『湯を沸かすほどの熱い愛』は20日間撮影した初めての長期の作品でした。中野監督からは撮影前に、『本当の家族になってほしい』という演出をいただいて、びっくりしました。本当の家族となるとか、役になりきることを考える経験も初めてでした」

「島々清しゃ」(新藤風監督)では、音感が鋭いあまり、変わり者扱いされてしまう沖縄・慶良間諸島に住む主人公を好演。東京からやってきたバイオリニスト(安藤)らの絡みも見どころだった。

「共演の安藤サクラさん、山田真歩さんはカメラが回っていないときも、役の関係性で接してくださって、いろんな話をしてくださいました。『湯を沸かす―』でも、杉咲花さんは撮影が終わってからも連絡を取り合ったり、今もお姉ちゃんのように思っています」と明かす。

「今は本当に周りの方に引っ張ってもらって、お芝居をしているので、自分もそんな演技ができるように頑張りたいです」としっかりと宣言してくれた伊東。恐るべき10代の今後も見逃せない。

□伊東蒼(いとう・あおい)2005年9月16日、大阪府出身。6歳のとき、ドラマ「アントキノイノチ~プロローグ~天国への引越し屋」(11/TBS)でデビュー。国内外の映画祭で話題となった「湯を沸かすほどの熱い愛」(16/中野量太監督)で映画出演2作目にしてその演技が認められ、第31回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞。その後、初主演した「島々清しゃ」(17/新藤風監督)では、第72回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。そのほかの出演作に、「花戦さ」(17/篠原哲雄監督)、「ギャングース」(18/入江悠監督)などがある。21年は「ひきこもり先生」(NHK)、連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK)、「空白」(吉田恵輔監督)、「群青領域」(NHK)などの話題作に出演。

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