元西武・相内誠と元Jリーガーがキックボクシングで対戦 年齢差16歳…異色の組み合わせ実現
格闘技団体「RISE」は14日、東京・渋谷の「FIGHT CLUB 428」で、2月16日に新宿フェイスで開催される「RISE FIGHT CLUB」の記者会見を行った。
2月16日の「RISE FIGHT CLUB」で実現
格闘技団体「RISE」は14日、東京・渋谷の「FIGHT CLUB 428」で、2月16日に新宿フェイスで開催される「RISE FIGHT CLUB」の記者会見を行った。
この大会は、通常であればボクシンググローブを着けて行われるキックボクシングの試合を、MMAで使用するようなオープンフィンガーグローブを装着して争われるもの。過去にRISEの大会でも何度か同様の形式で試合が行われてきた結果、ボクシンググローブとはひと味違ったリング上での戦いが繰り広げられている。
具体的には距離感。ボクシンググローブに比べてグローブのサイズが小さいため、通常の試合よりも間合いを詰める必要がある。
昨年5月に開催されたRISEの大会では、フルラウンド闘って、決着がつかない場合はドロー。勝敗はKOのみで決まり、フルラウンド闘ってKOできなければドローというルールだったため、衝撃的なKOシーンを何度か確認できた。現段階で、と書いたのは、まだこの形式での試合数が少ないため、今後は違った傾向が現れてくるかも、という意味だ。
大みそかの「RIZIN.33」で皇治に判定勝ちしたYA-MANも、昨年のRISEで行われたこのルールでの試合で活躍し、一気に頭角を表したファイターになる。
今回発表されたのは山口侑馬VS木村“ケルベロス”颯太(63キロ契約)、山口裕人VS東修平(65キロ契約)、相内誠VS安彦考真(66キロ契約)の3試合(いずれも3分3R)。中でも相内VS安彦はなかなかの異色な対決になる。
というのは、相内は2012年に西武ライオンズからドラフト2位で指名され、投手として8年間在籍した経験を持つ。ファイターとしての戦績は、昨年2月のデビュー戦ではKO負けを喫したが、11月に行われた「Breaking Down 3」では、得意の右ストレートを爆発させ、見事KO勝利。
これには同大会のスペシャルアドバイザーを務める朝倉未来も「150キロを投げると聞いていますけど、パンチがすごいですね」と発言。未来の弟・海は「才能を感じた」とコメントしていた。
一方、安彦は18年3月に練習生を経てJ2水戸と40歳でプロ契約。19年にJ3YS横浜に移籍し、同年開幕戦の鳥取戦に41歳1か月9日で途中出場したことで、ジーコの持つJリーグ最年長初出場記録(40歳2か月13日)を更新した元Jリーガー。デビューは昨年4月16日に東京・八芳園で開催された「EXECUTIVE FIGHT~武士道~」だったが、左右の鋭いパンチを放ち、2度のダウンを奪ってKO勝ち。3戦3勝と波に乗る。
つまり相内VS安彦は、元プロ野球選手VS元Jリーガー。年齢こそ、相内が27歳、安彦が43歳と開きはあるが、デビューした時期とキャリアは類似する。
会見の席上、相内は「正直、サッカーでしょ?っていう感じなので、サクッとやっつけちゃいます」と話し、「(相手の名前を聞いた時には)練習しなくて大丈夫かな、と思いました」とバッドボーイ節を披露。
これを受けて安彦は「念願というか、(相内の)デビュー戦は会場で見ていたので、いずれ一戦交えたいと思っていた。僕の中では対戦できる喜びは強いので楽しみにしています。今、練習しなくても勝てると言われてしまったので、それもリングの上でしか証明できないと思うので、全力で挑みたいと思います」と大人の対応を見せていた。
主催者である伊藤代表は、「いろんな思いをしてこっちの世界に転向してきたので、両者の生き様を見てほしい」と熱く語る。
ともあれ、野球とサッカーという競技は違えど、共に球技でプロのレベルに達した両者が、なぜか格闘技という全く別のジャンルで、しかもオープンフィンガーグローブを着けてのキックボクシングルールで闘うという摩訶不思議。
もしかしたら草苦闘技のリングでは、草野球VS草サッカーに興じた選手同士の対戦も、過去にはあったかもしれないが、プロのリングで、しかもこのルールでこの組合せが実現するのは史上初だろう。
もちろん、これに勝ったからといって、野球とサッカーの優劣が決まるわけではないものの、いったいどんな試合になるのかには興味が湧く。無理を承知で願望を言えば、いかに両者が持つ野球らしさやサッカーっぽさがリング上から見えてくるか。むしろお互いにファイターとしてのキャリアが短いだけに、かえってそれが見えて来る可能性は否定できない。
果たして、摩訶不思議な対決の結末は――?