ひとり親の7割以上が養育費もらえず 「連絡つかない」「怖くて言えない」事情も

養育費の取り決めをしていないケースも4割に上る
養育費の取り決めをしていないケースも4割に上る

「これ以上言うと命の危険があるので」 状況を改善できない事情もさまざま

 養育費減少の理由については、「コロナの影響による相手の収入減少。」、「念書に『増減可能』と記載されている為。」、「養育費を払ってもらえるように、毎月LINEで何度も連絡して、なるべく払ってもらうように頼んでいるが、お金がないといい、いつも減額したり、払ってくれないことも多い。」「相手は自営業なので仕事の状況や、再婚、子供が生まれるなどの理由で支払いが滞り、必要時にはLINEで連絡はとれるがあまり話し合いに応じてはくれない。」など、さまざまな声が上がった。

「養育費を減額されたことがある」「貰えなかったことがある」と回答した人に、養育費をもらうことができない状況を改善するために働きかけたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した対象者は3割程度に留まった。「ない」と回答した理由では「もと主人のDVが原因で私が離婚調停をして離婚したので、怖くて先方には連絡していません。」、「養育費の話をすると火がついたようにキレだす。酒癖が悪く、DV、子供も殴られた事があるので、これ以上言うと命の危険があるので言えない。」、「連絡先がわからないため。」、「今住んでいる自宅を知られる恐れがあるため。」など、さまざまな事情が上がった。

 また、「ある」と回答した人でも、「何度か話合いの場を設けたが、声を荒げ話合いにならなかった。」、「裁判所に勧告してもらったが、また数回だけで払われなくなった。」、「一度、親戚から電話をかけてもらったが無視された。DVなどの問題があり、協議や調停を行うと負担が大きい。弁護士は費用が高額となるので難しい。」、「何度も電話で話し口座を聞かれ教えたが一度も振り込まれなかった。」、「弁護士に相談しましたが、相手方から脅迫紛いの行為があり弁護士が手に負えないとの事」など、働きかけてもなかなか解決せず、泣き寝入りするケースも多数見られた。

 働けない事情がある場合を除き、ひとり親は男女を問わず子どもを育てながら働いているため、長時間労働ができないのが現状だ。内閣府による平成21年度の子育て費用に関する調査では、小学生ひとりの平均の年間子育て費用額(子どものための預貯金含む)は115万円で、1か月あたり9.6万円。仮に年収が同じ親同士で折半したとしても、月5万円の子育て費用が必要となる。これらの費用が無いと、中高生の部活、あるいは塾や習い事ができないなど、子どもがやりたいことや学びたいことを諦めざるを得なく、将来の選択肢が限られてしまうことにもつながりかねない。

 今回の調査結果を受け、グッドネーバーズ・ジャパンでは「養育費の負担は親の義務であり、離婚により親権がなくなっても親であることは変わりありません。なにより養育費は、監護している親のものではなく『子ども本人のもの』であり、子どもの権利です」とし、「養育費の確保については、『両親の話し合い』が成り立たない場合でも養育費を受け取ることができるよう制度を考える必要があります。例えば勤め先の給与から天引きする、元配偶者が行方不明な場合に裁判所や自治体が連携して居場所を探す、マイナンバー制度を活用するなど、すべての子どもが日本の未来の大切な財産であることを考えればできることはあるのではないでしょうか」と結んでいる。

次のページへ (3/3) 【画像】養育費の取り決め金額と実際に払っている金額
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