アントニオ猪木にどこまで迫れるか 初戴冠から10年、“第二次オカダ時代”がスタート【連載vol.76】
初のIWGP王座を奪ってから10年
東京ドーム2連戦で、レインメーカーの実力に感服した者も多いはず。やはりこの男はレベルが違う。雌伏の時を無駄に過ごしてはいなかったのだ。プロレスには人間力が必要。ただ強いだけでは、ファンを魅了できない。ここにきてオカダは一段高いステージに上がった。
新日本の半世紀はアントニオ猪木、藤波、初代タイガーマスク、長州力、橋本真也、武藤敬司、蝶野正洋の“闘魂三銃士”、中邑真輔、棚橋弘至らが支えてきた。ただ総合格闘技イベントの台頭、Jリーグ、Bリーグ、今年からはラグビーのリーグワンも新たに発足するなど、プロスポーツも多様化し、SNSなどの普及で、国民的な人気を集めるのは、大変な時代になっている。
それでもオカダは猪木を目標にしているはず。力道山、ジャイアント馬場、猪木がプロ野球のスーパースターたち、大相撲の横綱らと肩を並べていた時代の再現を目指しているに違いない。
12年2月、エース・棚橋からIWGP王座を奪い取ったレインメーカーショック。若き王者の急台頭に一部からは批判も受けた。ところがオカダはチャンピオンらしい試合ぶりであっという間に、そんな意見を封じ込めてしまった。「本物だったね」と声をかけるとうれしそうにレインメーカーポーズを見せてくれたことを、思い出した。
あれから10年。雌伏の時を経て、第二次オカダ時代がスタートした。猪木の粋に王手をかけたのだ。もう誰にも止められない。(文中一部敬称略)