アントニオ猪木にどこまで迫れるか 初戴冠から10年、“第二次オカダ時代”がスタート【連載vol.76】
「令和の猪木」を目指せ。設立50周年イヤーを迎えた新日本プロレスをけん引するのは、やはりこの男。“レインメーカー”ことオカダ・カズチカが新日マットのど真ん中に仁王立ちした。
毎週金曜日午後8時更新「柴田惣一のプロレスワンダーランド」【連載vol.76】
「令和の猪木」を目指せ。設立50周年イヤーを迎えた新日本プロレスをけん引するのは、やはりこの男。“レインメーカー”ことオカダ・カズチカが新日マットのど真ん中に仁王立ちした。
2022年の闘いは「WRESTLE KINGDOM16」1・4、1・5東京ドーム2連戦でスタート。IWGP世界ヘビー級王座を巡る抗争を制したオカダが、同王座に君臨した。
初日1・4決戦で王者・鷹木信悟の前に、昨年のG1 CLIMAX覇者として、そして10年前に初戴冠し“レインメーカーショック”を起こしたIWGPヘビー級王座のベルトを巻いて登場する。
35分44秒の激闘をレインメーカーで締めくくり、きっちりとIWGPヘビー級ベルトに一礼を捧げた。「新日本プロレスの歴史の中で大切なもの。きっちりとお別れできて良かった」とオカダの顔は晴れやかだった。
続く1・5決戦では“リアルIWGP世界ヘビー級王者”を主張するウィル・オスプレイを退け、早速V1を達成。32分52秒の死闘に、これまたレインメーカーでピリオドを打った。
初代王者が誕生してから何かといわくつきの王座を、第4代王者として奪取したオカダ。新日本の頂点を示すベルトが、やっと落ち着くべき腰、すなわちオカダの元にやってきた。
繰り返し「猪木さんにこのリングに上がってほしい」と訴えてきた。新日本の設立者にして、いまだマット界にその名を轟かす不動のミスター・プロレスに、最強王者となって改めてラブコールを送る。
オカダの熱い思いはニューコスチュームにも表れている。従来の襟の高いガウンではなく、襟は立っていないシルバーのロングガウンを着用。猪木が使用していたガウンを思い起こさせながらも、令和風に光り輝く。猪木をリスペクトしながらも、レインメーカーのこだわりも加味されていたのだ。
1・4、1・5の2連戦で披露したファイトも素晴らしかった。1・4決戦ではゴツゴツ、ガツガツとくる鷹木と真っ向から渡り合い、十八番のレインメーカーを様々なパターンから繰り出した。
1・5決戦では、ヘビー級でありながらジュニア時代のスピードそのままに多彩な空中殺法を次々と披露してくるオスプレイに、一歩も引かない身体能力を改めて感じさせるフライヤーぶりを見せつけた。どんなタイプのレスラーを相手にしても、変幻自在に対応しながらもレインメーカーらしさを失わないオカダの横綱ぶりには、感嘆のタメ息を連発するしかない。