【週末は女子プロレス♯31】元アイドルの2人が東京Dのリングへ スターダム中野たむ&上谷沙弥が演じた奇跡のドラマ

スターダムが昨年12月29日、8年8か月ぶりに東京・両国国技館でビッグマッチを開催。団体のフラッグシップタイトルであるワールド王座(赤いベルト)とワンダー王座(白いベルト)が移動した。

1・5東京ドームでタッグを組んだ上谷沙弥(左)と中野たむ【写真提供:スターダム】
1・5東京ドームでタッグを組んだ上谷沙弥(左)と中野たむ【写真提供:スターダム】

1・5東京ドームでタッグ

 スターダムが昨年12月29日、8年8か月ぶりに東京・両国国技館でビッグマッチを開催。団体のフラッグシップタイトルであるワールド王座(赤いベルト)とワンダー王座(白いベルト)が移動した。

 赤は林下詩美から朱里へ、白は中野たむから上谷沙弥へと政権が移行したのだが、中野と上谷はすでに新日本プロレス1・5東京ドームでタッグを組むことが決まっているなかでの王座戦でもあった。結果的に2人の立場が逆転。ユニット代表がクジを引いて決まったカード、岩谷麻優&スターライト・キッドVS中野たむ&上谷沙弥には、中野が前王者、上谷が新王者として名を連ねることになったのである。

 毎年1月恒例の新日本・東京ドーム大会。スターダム提供試合は、ブシロード体制への移行以来、3年連続となる。「スターダムのアイコン」と呼ばれる岩谷は3年連続3度目の出場、ハイスピード王者キッドは初のドーム参戦だ。中野は2年連続2度目で、シングル初戴冠を達成したばかりの上谷は、メットライフドームを含めれば女子選手最多の通算4度目のドーム出場、東京ドームは2年連続だ。

 ユニットの垣根を超えるチームが結成されたのは、現在進行形の闘いを見せる以上に、スターダムの何たるかを披露する必要があったからだろう。今回の提供試合はドーム通算6度目だが、第0試合ではなく初めて本戦(第2試合)にラインアップされた。これは配信によってスターダム、女子プロレスを知らないファンの目にも触れる絶好の機会。大きな使命感のもと、選手たちはそれぞれの持ち味を華麗な動きに乗せて存分に発揮した。たとえば、現在敵対する岩谷とキッドがMKシスターズというかつての師弟関係を思い出したかのような連係を見せ、7か月ぶりのタッグで今回の“役割”を果たしてみせた。

 また、中野と上谷にも師弟の絆がある。が、岩谷とキッドのような敵対関係まではいかないまでも、お互いがベルトを懸けて闘ったばかりで立場も逆転。中野は防衛戦のたびに心身を削るような闘いを繰り広げており、それだけに王座陥落によって燃え尽きてしまうのではないかと心配にもなっていたのだが、実際のところはどうだったのだろうか?

「燃え尽きちゃうんじゃないかと私も思いました(苦笑)。でもいまは、逆に清々しい気持ちです。というのも、私にはアイドルを目指してた上谷をプロレスに誘ってしまった負い目があって。でもプロレスラーになってからは、アイドルではかなえられなかった夢をかなえてほしいとずっと思ってました。上谷がつかんだ夢(白いベルト奪取)が、私が死に物狂いでつかんできた夢というのが皮肉だったんですけど、負い目からは解放されたと思うんです」(中野)

次のページへ (2/4) 上谷が口にする壮大な野望「無謀に近い夢かもしれないんですけど」
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