年末年始、ドラマ再放送連発の理由 ネット「ありがたい」「手抜き」意見分かれる
この年末年始のテレビ(関東ローカル)で目立ったのはドラマの全話再放送だ。番組表のあちこちで「一挙放送」の文字が躍った。
Netflix視聴で“一気見”習慣加速 次の年末年始はさらに再放送ラッシュ?
この年末年始のテレビ(関東ローカル)で目立ったのはドラマの全話再放送だ。番組表のあちこちで「一挙放送」の文字が躍った。
日本テレビは戸田恵梨香と永野芽郁がW主演した昨年7月期の「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」全9話を「年末一挙放送SP」と題して12月28日から31日の4日間に分けて昼間に放送。テレビ東京は18年の「駐在刑事 Season1」を12月30日と1日の午前に、また松重豊主演のグルメドキュメンタリードラマ「孤独のグルメ」を「お正月イッキ見SP」と題して31日朝から昼にかけてそれぞれ放送した。同日午後10時からは「孤独のグルメ2021大晦日スペシャル」が始まり、翌1日も午前9時から午後5時55分までを「孤独のグルメ」の再放送で埋め尽くした。連日見続けた視聴者はそれこそお腹いっぱいとなったことだろう。
際立ったのはTBSも同じで、30日は「ドラゴン桜」全10話を午前7時から午後5時30分までニュースをはさみながらまとめて放送した。同局は他にも「99.9-刑事専門弁護士-」、「天国と地獄~サイコな2人~」、「義母と娘のブルース」、「MIU404」、「オー!マイ・ボス 恋は別冊で」を全話一挙再放送している。
受験ドラマとしては日本テレビ系「二月の勝者-絶対合格の教室-」の最終回が12月18日に放送されており、ロスに陥っていた視聴者にとって「ドラゴン桜」の再放送は絶妙のタイミング。ネットでは「ドラゴン桜にはまって一気見、チョー最高」「ドラゴン桜再放送、一気見しちゃった。良いドラマ」「やっぱり年末の一気見は面白くて見てしまう」「ところどころ見てなかったから一気見ありがたい」と歓迎する声が多いが、他方で年末年始の一気見再放送ラッシュに「昼間の地上波はドラマ再放送の一気見ばっかり」「年末年始はろくな報道をせず再放送で済ましている各テレビ」「年末年始のTV番組、年々ショボクないですかね」と距離を置く声や、なかには「いっそ停波でも良い」といった過激な意見も見られた。
再放送にはどんなメリットがあるのか。「過去に収録した番組の再放送ですから新たに番組を作る経費が抑えられます。また再放送番組自体が年末年始スペシャルドラマの宣伝になります。『義母と娘のブルース』『孤独のグルメ』の再放送は年末年始のスペシャル版の視聴率を高める狙いがありました。また、TBS系4月期の『ドラゴン桜』に主演した阿部寛は今月スタートの同局新ドラマ『DCU』に続けて主演します。海上保安庁に新設された潜水特殊捜査隊(DCU)の活躍を描くアクションで、ハリウッドの大手プロダクションとの共同制作とあってTBSも負けられない。『ドラゴン桜』のCMの間に『DCU』の予告が頻繁に流れていたのもそのためです。テレ東の『駐在刑事』もSeason3が今月14日からスタートします。いわば、再放送自体が巨大な番宣番組となっているのです」(放送ライター)
もちろん視聴習慣の変化もあるだろう。NetflixやAmazon Prime Videoで米国や韓国のドラマを一気見するファンも増えており、TBSも12月12日に最終回が放送された同局系「日本沈没-希望のひと-」をNetflixで配信している。テレビが家族団らんの象徴だった時代はとっくに過ぎ去り、近年視聴スタイルはますます個人化している。ネットでは「昼間にやっていたドラゴン桜の再放送の録画を一気見して大号泣した」「ドラゴン桜を録画してる。おやすみの時に一気見しなきゃ」などの声が上がっているが、録画した番組を自分の好きな時間帯に一気に見るというスタイルが当然のようになってきた。
在京テレビ局の編成幹部はこう話す。「再放送そのものは当時のテレビが残した記録ですから見やすい編成で視聴者に届けることには意味があると思いますが、良質な新作を作り続けないとテレビ局の保存資料(番組)が充実しません」。とはいえ、海外大手配信サービスの影響力はますます強まり“一気見”という視聴習慣は広がるばかり。次の年末年始は自局ドラマの“一気見再放送”がさらに増えている可能性が高い。