プロゲーマーも「動画投稿とライブ配信は絶対」 ストリーマー転向の元選手が語るキャリアパス
YouTubeをはじめとする動画配信サイトでゲーム配信などを行う「ストリーマー」が近年、存在感を増している。プロeスポーツチーム「REJECT」所属のShomaru7も、多くの視聴者を集めるストリーマーの一人だ。Shomaru7はプロeスポーツ選手として活躍してきたが、8月に選手引退とストリーマー転向を発表し、現在はYouTubeで11万人、主戦場とするTwitchでは4万人以上のフォロワーを持つ。今回のインタビューでは、ストリーマー転向の理由や人気の秘けつ、今後のeスポーツ選手とストリーマーの関係などについて語ってもらった。
REJECT所属のShomaru7「ストリーマーは選手のセカンドキャリアになっていく」
YouTubeをはじめとする動画配信サイトでゲーム配信などを行う「ストリーマー」が近年、存在感を増している。プロeスポーツチーム「REJECT」所属のShomaru7も、多くの視聴者を集めるストリーマーの一人だ。Shomaru7はプロeスポーツ選手として活躍してきたが、8月に選手引退とストリーマー転向を発表し、現在はYouTubeで11万人、主戦場とするTwitchでは4万人以上のフォロワーを持つ。今回のインタビューでは、ストリーマー転向の理由や人気の秘けつ、今後のeスポーツ選手とストリーマーの関係などについて語ってもらった。(取材・文=片村光博)
9月にリブランディングとゲーミングオフィス設立を発表した「REJECT」は、同時にストリーマー部門の発足も発表。その1人目として加入が発表されたのが、8月までプロゲーミングチーム「SunSister」の一員として「Apex Legends」(以下、Apex)のプロリーグに参戦していたShomaru7だった。その時点ですでにフリーのストリーマーとして活動していたShomaru7だが、転向の決断に至った理由は、さまざまな側面から競技シーンの行き詰まりを感じたことだったという。
「大きかったのはモチベーションです。Apexがチート(不正行為)などもあって環境的にプレイしづらい状況が続いて、自分を含めた選手たちのモチベーションが下がり、練習ができなくなり……。結果として、大会でも最後は下から2番目の19位になってしまいました。率直に言って、選手として戦い続けることに価値を見いだせなくなってしまったんです。
シンプルに、練習不足で勝てないことも痛感していました。配信では『俺、最強なんで』と言ってはいますが(笑)、実際にはしっかりと分析した結果、『これは無理だな』と感じていたんです。それなら、これからはストリーマーとしてやってみるか、という流れでしたね」
プロ選手としては一区切りをつけ、ストリーマーを本業としていったShomaru7。しかし、プロゲーミングチーム「DeToNator」のFPSゲーム「AVA」部門で初めてプロ選手になったときから、先を見据えて動画投稿と配信活動に意識的に取り組んでいた。「(プロ選手の肩書きがある)今のうちに名前を売っておこう」という狙いを持ち、まだプロ選手の配信がメジャーではなかった時期から配信スキルを身に着けたことによって、ストリーマーとしての活動をすぐ軌道に乗せることができた。こうした流れは今後、主流になっていくとShomaru7は考えている。
「ストリーマーは選手のセカンドキャリアになっていくと思います。競技シーンで活躍しながらファンを獲得して、そのファンの人たちにはストリーマーになってからも配信を見てもらう。海外でもこの流れが一般的で、Shroud(※1)がモデルだと聞いています。選手を続けるだけなら長くすることも可能ですが、ずっと勝ち続けるのは難しいですからね。
ただ、日本のプロ選手は全然、ライブ配信をしていない。今はApexが流行していますが、視聴者が多いプロ選手はあまりいません。もったいないですよね。明らかに強さがあるので、目立てるはずなんですが……。海外では強い人が目立っていて、プロ選手のほとんどがスクリム(練習試合)や大会を配信しています。もちろん、作戦がバレるから配信できないタイトルがあることも理解していますが、そうでなければ絶対にするべきだと思います。お金にもなるし、ファンも増える。やっぱり、選手はファンを増やしたいですからね」
プロとして名前を上げ、ファンを獲得することによって、セカンドキャリアでは勝敗や競技タイトルに縛られないストリーマーとして生計を立てていく。Shomaru7のキャリアパスは、日本のeスポーツ選手にとって現時点での理想形の一つとも言えるだろう。
※1 シュラウド。Twitchフォロワー約990万人を誇る人気ストリーマーで、元プロゲーマー