中西学「今に見とけよ!」現役続行不可能からの大逆転劇 復活までの過酷な日々を語った

過酷なリハビリを乗り越えて復帰を果たした【写真:山口比佐夫】
過酷なリハビリを乗り越えて復帰を果たした【写真:山口比佐夫】

男性の看護師さんにウェイトトレーニングを手伝ってもらった

 リハビリは特別なことはしてなくて、とりあえずは自分の体を自分で支えなアカンちゅうことで、そっからやっていきました。多少の痛みもあったけど、自分が納得行くまでやってました。その時の笑い話っちゅうか、まあ公私混同したことがあって、リハビリの先生が部屋まで来てくれたら、決められた時間をオーバーするくらいまでやってもらったり、男の看護師さんが来たら「ちょっと手伝ってくれって」言って、ウェイトトレーニングを手伝ってもらったりして(笑)。それで看護師さんが「身の回りの世話をするのが役目だから、リハビリを手伝うのは違いますよ」って言われましたけど、せっかく男性が来てくれたんで、「まあそんなこと言わんと、ちょっとトレーニング手伝ってくれや」って言って、そしたら「わかりました」って。看護師さんも笑ってましたね(笑)。

 ただ、焦ってましたね。早くリングに戻りたいから、リハビリも焦ってやってしまった。まあ色んなトレーニングやるときも、必ず軟らかくしながら筋肉をつけていかなアカンけど、焦ってたからほとんど呼吸法なしでやってたんで、そしたらガッチガチになってしもうて、体は120キロぐらいには戻ったんですよ。岐阜の病院の先生は、すごく親身になって「とにかく体力をつけなくちゃいけない」って言ってくれて。オリンピックも出てるし、プロレスも長いことやってるから、わかってリハビリやってるんやなって思ってたみたいですけど、自分自身が見失ってるものがあったから、もうガッチガチになって東京に来たわけですよ。でそれを見たリハビリの先生が「こんだけ筋肉ついてるから、今後はちょっと筋肉を柔らかくするストレッチ中心のトレーニングと呼吸法をやっていきましょう」って言ってくれはって。

これまでの経験を後輩レスラーに語った【写真:山口比佐夫】
これまでの経験を後輩レスラーに語った【写真:山口比佐夫】

ケガ、リハビリを経験した中西学が、次の世代のレスラーに伝えたいこと

 やっぱりしっかり体調の管理をして、長いことやって欲しいと思いますね。続けていくと、幅も広がるし色んな選手とやっていける。その時その時で色んな面白さがありますからね。若い時、中堅の時、トップクラス、初老になっても味のある試合ができますし、でもケガしたらそれができませんから。まあこれからそういうアドバイスができるような立場になれたらいいんですけど。若い選手は早く売れたいって気持ちがあってね、そういう気持ちはすごく大切なんですけど、せやけどしっかり鍛えるってことと、首とか足とかのトレーニングはすごく大事なんで、それをおろそかにしたらアカンと。とにかく足が動けば上半身も筋肉はつくと。土台がしっかりせえへんとなし崩しに崩れていくから、それは伝えたいですね。

 あとは巡業とか行ってメシ食う時は、その前にいっぺん熱いお風呂にばっと入って、いっかい体温を上げて血の巡りを良くしてからメシ食いにいくとか、そういうケアをすると、かなり違ってくると思いますね。モンスターモーニングですか? あれはツイッターのネタですよ(笑)最初はストロングマンと組んでた時、巡業先のホテルで「朝ごはん食いながら作戦会議でもしようぜ」っていうのがきっかけで、ちょうどツイッターもはじめたから、「ほなメシ食うのもちょっとのせようぜ」って。あれで1日分の栄養バランスが取れてますんで。

□中西学(なかにし・まなぶ) 1967年1月22日生まれ。高校時代よりアマレスで活躍し、全日本選手権4連覇を達成。大学を卒業後の91年4月、新日本プロレスの「闘魂クラブ」に入団。92年に開催されたバルセロナオリンピックに出場した後、8月に新日本へ入門する。強靭な体格を生かしたケタ外れなパワーファイトで、99年に「G1 CLIMAX」優勝。2009年に悲願のIWGPヘビー級王座を獲得した。「野人」の愛称でも親しまれ、バラエティー番組でも活躍する。11年6月に地元京都での試合で首を負傷「中心性脊髄損傷」という大ケガを負い長期欠場となったが、12年10月に奇跡の復活を果たした。しかしその後、思うような戦いができず、1月7日に現役引退を発表、2月22日後楽園ホールでレスラー人生に幕を下ろす。

□「中西学 引退記念大会」2月22日、東京・後楽園ホール、試合開始午後6時30分
《第6試合 60分1本勝負》
中西学、小島聡、天山広吉、永田裕志 VS オカダ・カズチカ、棚橋弘至、飯伏幸太、後藤洋央紀

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