「ギャラは1億円、相手はピーター・アーツ」と要求した小川直也 無茶苦茶だった20年前の大みそか
猪木からのオファーに「お任せします」と安田忠夫
最近、シバターによって、RIZIN大みそか大会での皇治戦が決まらなかった経緯が暴露されていたが、通常であれば、そういった楽屋落ちにも通ずるような内幕話は公にはされない。
実際、それが那須川天心であれ、朝倉未来であれ、トップファイターのファイトマネーは、想像することこそできるものの、契約書でも見ない限り、実際の金額を知ることはできない。
最近はUFCなど、海外の組織では試合そのものが公益ギャンブルの対象でもあるのでファイトマネーは公にされている。もしかしたらそのうち日本にもその動きが出てくるかもしれないが、現在のところ、その部分はタブーの領域になっている。
話を元に戻すと、小川が話を断ったことで、柱であるはずのメインが決まらない。
今回、当時の手帳を開いて確認したが、小川の参戦が正式に流れた翌日の12月21日、なぜか猪木が高田道場で急きょ、記者を集めて会見を行っている。
「俺がバンナにのされればいいんだろ」
捨てぜりふのように猪木がそう口にしたことを、今でも思い出すことがある。
会見自体は囲み取材のようなもので、猪木は立ったまま、5~10分程度で終わった記憶があるものの、場所がなぜか高田道場だったことも含めて緊急事態感が漂っていたが、もう20年以上前の話なので、もしかしたら多少は記憶の改ざんがあるかもしれない。
ともあれ、そんな流れから猪木は炊き出しを終えると、新宿にあるホテルのレストランに移動。そこから安田に電話をかけた。
いや、詳細をいえば、猪木から記者が「安田につながらないんだよ」と聞き、記者の携帯電話から安田に電話をかけて、そこから携帯電話を猪木に手渡し、安田にバンナ戦を伝えてもらったという流れだった。
というのはこの頃、猪木は「非通知」で電話をかけており、「非通知」を受け付けない設定をしていた安田にはつながらなかった、という話だった。
この際、猪木は安田にギャラの金額まで伝え、安田はこの時、「お任せします」と言っていた。
厳密に言えば、自分はその場にいただけで、安田の声を直接聞いたわけではないが、確かそんな様子だった。
結局、紆余曲折あって、メインは安田VSバンナ戦に決定!
ギャラが赤裸々に公にされることも前代未聞だったが、マッチメイクの決まり方も、決まるタイミングも含め、無茶苦茶な場面ばかりだった。
(続く)