いわば“模試代わり”として人気を集めているわけだが、それだけではない。「校舎は地方の大学のキャンパスのように広々としています。生徒全員が持っているクロームブックを使用するICT教育にも力を入れていて、『なぜピラミッドは造られたのか？』『なぜ産業革命はイギリスから始まったのか？』などを考える授業は大学のゼミレベルです。『「空気」を読んでも従わない』という鴻上尚史の本を栄東生が推奨していることも自由を感じます。中学は完全給食で土曜日はカフェテリアで自由に昼食をとることができるので親の負担が減ります」（同）

　栄東は25日、出願状況を発表。A日程となる1月10日は4114人、11日は2013人で合計6127人。今年度も各試験日を合計すれば延べ1万人を超える見通しだ。出願倍率は単純計算で約43.8倍となるが、大量の合格者を出すので実質倍率はA日程で1.5倍前後、東大特待で2.4倍ほど。御三家やそれに次ぐ難関校志望者にとっては試験本番を体験できるし、自分の実力を測ることもできる。万が一、第一志望に合格できなくても進路実績のある同校は魅力的だ。校長自ら“すべり止めの星”と呼んでいるのもうなずける。

　栄東に通学している生徒の親は「校則も厳しくないしのびのびと過ごしています。埼玉県外から通っている生徒さんもたくさんいますよ」と話す。「文武両道」がモットーで部活に積極的に取り組む生徒も多い。東大合格者を多数輩出しているクイズ研究部はTBS系「東大王全国クイズ甲子園2021」で全国優勝を果たした。また、数学オリンピック入賞を目指す競技数学同好会、国際地学オリンピックで銀メダル相当を受賞した理科研究部などもよく知られている。

　さて、実際に栄東を受験する場合には留意すべきことがある。JR大宮駅で宇都宮線に乗り換える際は非常に混雑するので子どもとはぐれないように気を付けたい。東大宮駅に到着すると改札手前の出口案内に「栄東中学・高等学校」の表示がある。西口に出たら受験会場に向かう親子の長い行列が続くので一緒に歩いていけば10分ほどで到着する（試験会場が栄東中高の場合）。昨年に引き続き、塾講師による受験生応援は自粛が要請されているので、黒木や佐倉が受験生を応援するドラマのようなシーンは期待できない。

　ちなみに栄東の公式ホームページの交通案内には「東大宮駅～学校までのアクセス」と題した地図が掲載されているが、実際にはカーブしている道路が直線で描かれているため混乱する。記者はこの地図を見て迷ってしまった。受験者の親は通学時間や乗り換え、駅から学校までの経路を確認するため事前に下見に行くことを強くお勧めしたい。

　A日程の1月10日・11日（選択制）のインターネット出願期限は1月6日午後3時まで。合格発表は12日午前10時。