「ハラスメント」意識調査で上司の苦悩 専門家「なんでもハラスメントになる風潮がある」
企業研修やキャリアカウンセリング、企業コンサルティングなどの事業を行うダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社が、上司と部下のコミュニケーションに「ハラスメント」によるトラブル回避がどのような影響を与えているか、インターネットによるアンケート調査を実施。8割強の上司がハラスメントによるトラブル回避のため部下への発言をちゅうちょしていることがわかった。
3人以上の部下とコミュニケーションをとっている30代~50代の管理職312人に調査
企業研修やキャリアカウンセリング、企業コンサルティングなどの事業を行うダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社が、上司と部下のコミュニケーションに「ハラスメント」によるトラブル回避がどのような影響を与えているか、インターネットによるアンケート調査を実施。8割強の上司がハラスメントによるトラブル回避のため部下への発言をちゅうちょしていることがわかった。
近年「○○ハラスメント」「○○ハラ」と名づけられた新語が続々とメディアで話題になることも多く、ハラスメントへの意識は確実に向上している。しかし、何がハラスメントなのかを正しく理解できていない人も多く、必要以上にハラスメント・トラブルを恐れ、部下との関わりに支障が出ている管理職も多くいる。
調査は12月9日~10日の期間、3人以上の部下とコミュニケーションをとっている30代~50代の管理職の会社員を対象に実施。312人から有効回答を得た。
その結果、83%の上司が部下への発言をちゅうちょした経験をもち、それにより部下の育成や能力開発、関係構築などを難しくしている現状が明らかになった。どんな場面で部下への発言をちゅうちょしたか聞いたところ、「部下の仕事の仕上がりに不満があるとき」が65.3%で最多に。「失敗の言い訳をしてくるとき」が52.5%、「ケアレス・ミスを叱るとき」が51.7%と続いた。
ハラスメント・トラブル回避のため部下への発言をちゅうちょすることで、業務遂行上どんな影響が出ているかを聞いたところ、「部下の育成指導がしづらい」、「部下と関係構築のための十分なコミュニケーションがとりづらい」、「部下の能力開発をしづらい」などの回答が挙がった。
また、「部下から『ハラスメント』と指摘されるかもしれない発言をしたことがあるか」を聞くと、47.1%が「経験ある」と回答。一方で、実際に部下から「ハラスメント」と指摘されたことのある上司は11.9%に留まるなど、上司と部下のハラスメントへの認識の違いがある様子が明らかとなった。
さらに、部下から「ハラスメントです」と言われることを恐れて、なるべく関わらないようにしよう、という気持ちになってしまったことがあるか聞いたところ、「はい」が41%に上るなど、ハラスメント・トラブルを回避するために、部下の育成・指導を放棄せざるを得ない状況に陥っている実態も明らかとなった。
今回の調査結果を受け、ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社代表でハラスメント対策専門家の山藤祐子氏は「年間5000人以上の方にハラスメント対策の研修をしていますが、自分が嫌だと感じたら、なんでもハラスメントにしてしまう風潮があるのも事実です。また、それを受けて、管理職の側は『厳しく指導したらパワハラだ』と誤って解釈し、部下と関わらない、何事も見え見ぬふりをしようという人も見受けられます」と現状を分析。「このような状況を変えるには、何がハラスメントになるのか正しく理解することが大切です」とアドバイスしている。