“コロナの女王”岡田晴恵が今、伝えたいこと「このパンデミックはなかなか終わらない」
白鴎大教授で感染症専門家の岡田晴恵氏がこの2年間の“秘められた闘い”を克明に描いた書籍を上梓した。2019年末の新型コロナウイルス発生以来、多くの報道番組やワイドショー等で解説をする日々の裏で、“コロナの女王”と呼ばれた岡田氏は何と闘っていたのか。出版を控えた今の心境を岡田氏に聞いた。
政府のオミクロン株対応に「やるべきことは2年前から変わってません」
白鴎大教授で感染症専門家の岡田晴恵氏がこの2年間の“秘められた闘い”を克明に描いた書籍を上梓した。2019年末の新型コロナウイルス発生以来、多くの報道番組やワイドショー等で解説をする日々の裏で、“コロナの女王”と呼ばれた岡田氏は何と闘っていたのか。出版を控えた今の心境を岡田氏に聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)
――著書を書き上げてみて、率直な今のお気持ちは。
「『ENCOUNT』を見ている方は、若い人が多いですよね。この本は、若い読者の方にこそ読んでほしい。今またオミクロン株への感染がじわじわと国内でも確認されてきていて、第6波が来る可能性がありますね。このパンデミックはなかなか終わらないし、いずれ新しい感染症でまたパンデミックが起こる。その時に被害を受けるのは、下の世代の人たちです。思い起こすと、新型コロナは武漢での発生に始まり、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の入港、第1波から2波、GoToトラベル、3波、4波、変異ウイルスの猛威、デルタ株の恐怖の中での東京五輪、そして5波がワクチンで減少しながらも、オミクロン株が南アフリカで発生。これらのように、2年間にあったことの記録を振り返って、未来へつなげてほしい、特に若い世代に。そう思って書きました」
――コロナ発生からちょうど2年という、出版のタイミングは。
「年内に出せて良かったと思っています。ワクチン接種の遅れているアフリカ諸国等から新たな変異株が出現するリスクは分かっていたこと。これは読み物というよりは、感染症の危機管理についての認識を深めてもらい、この国や組織がどうあるべきかを国民のみなさまに広く問いかけることを第一の目的として書いた本です。ですので、新変異株が広がる前に出したかった。通常の制作スケジュールであれば3月、4月頃の発売となるところを、出版社の方に無理を言って、何とか年内に緊急出版の形で出していただいた。だって、感染が流行しているときに危機管理を諭す本を出しても遅いでしょう。今少し落ち着いているときに、次の流行に備える。その時に手に取って読んで欲しい。だから、第6波が来る前に出そうと思った」
――オミクロン株に対する岸田政権の初動は早かった。これまでの対応と比較して評価は。
「第1波から第5波まで、全部ウイルスの型が違う。猛威を振るったアルファ株、デルタ株も外から入ってきたもの。ならば、オミクロンでの第6波を止めないといけない。もちろん、総理として難しい判断はあると思います。でも、基本は検査・隔離・早期治療開始。やるべきことは2年前から変わってません」