コロナ感染で酸素ボンベを背負い声帯を切除 GRACHAN岩崎代表が語る退院後の苦闘

コロナ感染で得た教訓 エンタメ界のリベンジは?

「たまたまご縁があって、『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日系)さんが放送したいって連絡があって。『過去素材ありますか?』って聞かれました」

 5月、番組内で岩崎氏のコメントや状態が放送されると、担当医も出演するなど、各所から反響があった。

 また、自身の経験を糧に、GRACHANでも感染対策を工夫した。例えば、コロナの感染防止にも高い有効性あるとされるMA-Tマウスウォッシュ。

「コロナやウイルスが移るのは口らしいです。だからウチはこれを選手やセコンド、関係者が使っていこうと。確かに『コロナウイルスを98%以上消毒』といっても100%じゃないわけだから、完全にとは言えないけど、俺は少なくとも気をつけて予防対策します。コロナの怖さも知ったし、何よりお客さんと選手にとって安心感を与えなければならないし。その分、自分なりの勉強はします」

 自ら経験し、得た知識を格闘界にも広げようと動いた。

「コロナに関しては、『DEEP』の佐伯繁代表と一番話し合った。それって佐伯代表がそれだけお客さんのことを思っているってことですよね」

 コロナによって、全人類の誰もが人生の方向性を軌道修正させざるを得ない状況に追い込まれた。それでも具体的に生死をさまようほどの状態にまで至った人間はどれほどいるのだろう。

「もしあのままICUに1年間いて、手足が言うこときかなくて、オムツを履く生活が続いていたら、『どうするんだ? 俺は一生このままか?』ってさすがに病んだかもしれないけど、9日間で済んだから」

 まさに体験にまさるものはなし。岩崎氏の言葉にはそれだけの重みがある。

「政府が緊急事態宣言を解除し、チケットの動きは違ってきています。エンタメ業界、それまでの1.5倍の動員数と聞いているし。これからでしょう! そして、長い入院生活だったので、医療関係者の方々の大変さを目のあたりに見てきました。尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。生かしてくれてありがとうございます」

 エンタメ業界によるリベンジ。もちろん「GRACHAN」を含め、2022年にはぜひともこれに期待したいが、コロナによって死の淵から生還した岩崎氏にとっては、それこそが真の意味でのコロナに打ち勝った証明になるに違いない。

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