コロナ感染で酸素ボンベを背負い声帯を切除 GRACHAN岩崎代表が語る退院後の苦闘

19日には「GRACHAN52」を開催した【写真:ENCOUNT編集部】
19日には「GRACHAN52」を開催した【写真:ENCOUNT編集部】

「普通の人のような声は、もう諦めてください」

 そこで岩崎代表は医師からこう告げられた。

「最初に言われたのは、『普通の人のような声は、もう諦めてください』でした。声がもうスカスカしか出せないと言われました。手術を提案され、知り合いのドクターを含め5人くらいに会いました。会う先生、会う先生、手術内容はさまざまで…。悩んだ末、のどの声帯をレーザーで切る技術を持つ先生に決めました。もしこれでダメなら、ほかの病院で移植手術も視野に入れていました」

 2021年に入り、1月には手術をすることになった。コロナ入院中の治療で起こった、気管挿管の後遺症である後部声門狭窄症を治すためのもの。4~5時間の手術だった。
 
 この時、岩崎氏は声帯をレーザーで半分切っている。それでも手術のおかげか、酸素吸引での生活は回避することができた。例のキャスター付きの自動空気発生器を持ち歩かなくてよくなったのだ。

「今でもカラオケ等の大きな声は出せない。低音も出ないし、ビブラートも出ない。人がたくさんいると声が届かないし。でも、よい先生と出会い、手術も無事に終わって退院もして日常に戻れていることがとてもありがたいです」

 実はこの手術の際、岩崎氏は記録としていくつかの写真や動画をSNSに投稿している。今回、投稿したもの、していないものを含め、いくつかの映像を見せてもらったが、そのうちの一つを紹介する。それは後部声門狭窄症を治す手術に向かう直前、病室のベッドに横たわった岩崎氏の映像だった。

「数時間後に手術になります。この声とも一生おさらばです。皆さんとお会いする時は、新しい俺になっていると思います。過去の俺は今日でおさらば。新にチェンジした岩崎になりますので、とりあえず頑張ってきます。じゃあ、この声、さよなら」

 なかなか身につまされるものを感じた。

「今もそうかもしれないけど、コロナになってから自殺者が増えたって聞いたんですよ。だから『俺はこんなだけど、ここまで闘っている。健康なんだったらなんでもできる』って言いたくて。実際、そうでしょう」

「元気があればなんでもできる」

“燃える闘魂”アントニオ猪木ではないが、「元気が一番」。それを岩崎氏は身を持って体感し、自身の病床での姿をさらしながらメッセージを発信した。

 すると、思ってもいないところから反応があった。

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