王道3冠王座に挑戦するデスマッチ戦士 新春の「聖地」後楽園ホールで激突【連載vol.73】

「アブドーラ」を名乗る師弟コンビ、ブッチャー(左)とアブドーラ・小林【写真提供:アブドーラ・小林】
「アブドーラ」を名乗る師弟コンビ、ブッチャー(左)とアブドーラ・小林【写真提供:アブドーラ・小林】

王道マットでハードコア、しかもデスマッチファイターが3冠に挑戦

 そもそもの発端は11・13後楽園ホール大会の最強タッグ決定リーグ戦。Aブロック公式戦で小林、ドリュー・パーカーの「ブラディ・エクスプレス」が、ジェイク、大森北斗組を撃破したことに始まる。

 11・23大阪大会で、ジェイクが北斗と共に小林組の控室を襲撃。無防備にリラックスしていた小林はされるがまま。そしてジェイクが「お前らの土俵で戦ってやる」と言い放ち、12・5後楽園ホール大会でハードコアルールによる再戦が実現したのだった。遺恨勃発、因縁の対決となったが、小林組がハードコアに慣れていないジェイク組を撃破し、3冠挑戦をぶち上げた。

 王道マットでハードコア、しかもデスマッチファイターが3冠に挑戦…賛否両論巻き起こっているが、ジェイクは「俺がやってやる。誰の指示でもない。俺の意志だ」と強調。「文句があるヤツがいたら、俺にどんどん言ってこい。全日本プロレスでもなく、TOTAL ECLIPSE(ジェイクがリーダーのユニット)でもなく、俺個人に言ってこい。以上」とピシャリ。自ら招いた状況にキッチリとカタをつける。3冠王者として、ここで負けては言い訳できない。それどころか、さらなる批判を招いてしまう。ジェイク本人が一番分かっていることだろう。

 小林は「全日本プロレスの50年の歴史を見てみろ。シークがいただろ? ブッチャーがいただろ? ブロディ、ハンセン、タイガー・ジェット・シンもいただろ? ハードコアの歴史なんだよ。それをこの令和に俺がよみがえらせてやろうっていうんだよ」とボルテージは上がる一方。

「ジェイクは新しい王道とか言っているんだろ。じゃあ俺は今までの王道を見せてやるよ。その王道が、もしかしたら大日魂かもしれないぞ。何たって大日本プロレスは、アジアタッグ王者のグレート小鹿の会社だぞ。多少は俺にもオールジャパンの血が流れているぞ」といきり立つ。

 アブドーラ・ザ・ブッチャーを師と仰ぐ小林。ブッチャーは全日本マットで数々の実績を残した。3冠王座の前身であるPWFヘビー級、UNヘビー級王座は獲得しているが、3冠王座は手に入れてない。ここで小林が栄光のベルトを巻けば、師匠超えを果たすことになる。3冠初挑戦で初戴冠となれば、まさに快挙だ。

 全日本出身のグレート小鹿が設立した大日本の選手で、ブッチャーの弟子の小林。青は藍より出でて藍より青し。出藍の誉れとなるか。

 血気盛んなアブドーラ・小林の野望は成就するのか。注目が集まっている。

次のページへ (3/3) 【写真】どっしりと構える3冠王者ジェイク・リーのショット
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください