コロナ禍で40~60代の3人に1人が体重増の調査判明 アルコール摂取は「二極化」傾向も
日本国内で新型コロナウイルス禍が2年目を過ぎようとしている年末年始。行動規制の緩和によって、歓楽街には活気が戻ってきた。一方で、コロナ禍の外出自粛やテレワークの増加などで生活習慣の変化、健康リスクの悪化も懸念されている。開放感とともについつい暴飲暴食になってしまいそうだが、より一層の注意が必要だ。
全国40~60代の男女3000人を対象「一般社団法人・日本生活習慣病予防協会」の調査結果
日本国内で新型コロナウイルス禍が2年目を過ぎようとしている年末年始。行動規制の緩和によって、歓楽街には活気が戻ってきた。一方で、コロナ禍の外出自粛やテレワークの増加などで生活習慣の変化、健康リスクの悪化も懸念されている。開放感とともについつい暴飲暴食になってしまいそうだが、より一層の注意が必要だ。
厚生労働省が紹介している「スマート・ライフ・プロジェクト」の資料によると、生活習慣病とは「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」という。食習慣と運動習慣に関する病気は「肥満、高脂血症(家族性のものを除く)」など、喫煙は「肺扁平上皮がん」など、そして、飲酒は「アルコール性肝疾患」などが挙げられている。
コロナ禍における人々の体調変化・生活習慣について、「一般社団法人・日本生活習慣病予防協会」の公式サイトに興味深いデータが掲載されている。
同協会は今年11月に調査結果を発表。新型コロナ感染拡大前後の体調変化や生活習慣などについて、全国の40~60代の男女3000人を対象にした一般生活者と、各種健診を担当する全国の医師50人を対象とする調査を10月に実施。「コロナ禍が人々の体調や生活習慣に大きな影響をもたらしているという実態、コロナ禍が脂肪肝のリスクも高めているということが分かりました」と総括している。
一般生活者への調査結果を見ると、新型コロナ感染拡大後に新たに診断された病気としては、「高血圧症」(6.4%)や「脂質異常症(高コレステロール血症など)」(5.5%)、「腰痛症」(4.1%)のほか、「糖尿病」(3.0%)や「肥満症」(2.3%)などが挙げられた。また、コロナ禍で変化した生活習慣のトップは「適度な運動ができない運動不足」だったという。
体重の変化は顕著だ。新型コロナ感染拡大前(2019年ごろ)と現在との体重の変化について、約半数にあたる47.7%が「変わらない」と答えているが、3人に1人は「体重が増加」(36.4%)しているとの結果が。体重が増加した1092人の内訳では、最も多いのは「3キロ未満の増加」(55.3%)。次は「3~5キロ未満の増加」(29.6%)で、「5キロ以上増加」(15.1%)だった。調査対象者数3000人と比較すると、5.5%が5キロ以上の増加だったという。また、肥満の度合いを示す体格指数であるBMIを聞くと、「肥満」にあたる「BMI25以上」は全体の27.1%に上ったという。
さらに、調査結果はアルコール飲酒量の変化は「二極化」と指摘している。酒を飲むと答えた2146人に新型コロナ感染拡大前(19年ごろ)と現在の飲酒量の変化を聞いた内容では、約6割は「変わらない」(59.3%)と答えているが、4人に1人は飲む量が「減った」(25.3%)と答え、コロナ禍を機に「お酒を飲むのはやめた」は3.8%だった。一方で、1割にあたる11.6%は飲む量が「増えた」と回答している。また、飲酒量が増えた理由は「ストレスが増えた」(48.8%)が最多で、「在宅時間が増えた」が38.0%で、「心配なことが増えた」を挙げた人は約4人に1人となった。
医師への調査結果は、内科や消化器内科の医師50人を対象に、新型コロナ感染拡大後の患者の健康状態を聞き取り。健康診断や人間ドックなどを行う中で、患者の検査値が悪化していると感じる症状を聞くと、「体重増加」(76%)、「糖代謝」(46%)、「脂質代謝」(44%)が上位に。医師の3人に1人(34%)は「肝機能」が悪くなっていると指摘している。
感染拡大以降、脂肪肝の疑いを指摘することが増えているかの質問には、56%の医師が「増えた」と答えたといい、調査結果では「運動不足や食生活の乱れからくる体重増加、そこから派生する生活習慣病、脂肪肝のリスクも高くなっているといえます」との見解を示している。
健康維持のためには普段の生活から見つめ直すことが重要だ。コロナ禍とはいえ、今年の忘年会シーズンは、昨年より宴席や会食の機会が増えそう。感染対策の徹底に加え、健康リスク悪化回避のためにも、“気の緩み”が出ないよう引き締めたい。