SNSで話題の“バズる”水族館館長が語る哲学 「水族館は魚を飼育する施設じゃない」
「反響があったからといってお客さんが増えるようなことはないですね(笑)」
淡水魚専門の小さな水族館とあって、展示されている魚はけして多くはない。そのぶんお客さんと飼育員のコミュニケーションの時間を増やそうと考えたのが、「館長が出てくるボタン」だ。
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「『お客さんともっとコミュニケーションと取りましょう』といっても、声をかけられたくない人もいるし、僕自身人に話しかけるのは苦手。その点、ボタンなら聞きたいことを聞きやすいかなと。押される回数は1日1回ないくらいですね。この魚なんですかとか、どんなカメラ使ってるんですかとか……。彼女いますか? それはないですね(笑)」
この2年間は水族館にもコロナ禍が直撃。何度か休館も余儀なくされた。ただでさえ、冬場は雪深くなかなか観光客の来られない地域。離れていても水族館のことを忘れられないようにと始めたのが、過去のアンケート用紙のツイッター投稿だ。「ひじょうによかったのになぜ人がこないのか」「俺も知りたい」、「人がいないのはソーシャルディスタンスの配慮ですか?」「泣くぞ」、「1、2回バズったこと鼻に掛けているのではないか。」「6回バズってます。」など、素朴な疑問に対する本音の回答は、公開するたび大きな反響を呼んでいる。
「反響はすごいですが、反響があったからといってお客さんが増えるようなことはないですね(笑)。水族館は魚を飼育するための施設じゃなく、魚を展示して見てもらうための施設。お客さんがみんな魚好きとは限らないですし、魚と同じくらい来てくれる人のことも考えなければいけないと思ってます。来年はリニューアル10周年。出張水族館やプロジェクションマッピングなど、楽しんでもらえるような新しい試みを続けていきますので、ぜひ当館まで足を運んでいただけたら」
次々と新しい仕掛けを手掛ける“バズる”水族館館長。北海道の小さな水族館は今後もさまざまな取り組みを続けていく。