小泉今日子“姉さん”の背中を追って…36歳女優プロデュースの映画が海外映画祭で6冠

昨年4月の緊急事態宣言下ではエンタメの制作中止が相次いだ。そんな中、文化庁の継続支援事業助成金約700万円で映画制作した女優がいる。小泉今日子主演のドラマ「最後から二番目の恋」などに出演した広山詞葉(36)だ。プロデュース兼出演した映画「truth~姦(かしま)しき弔いの果て~」(堤幸彦監督、1月7日公開)は6つの海外映画祭で栄冠に輝いた。(取材・文=平辻哲也)

小泉今日子主演のドラマ「最後から二番目の恋」などに出演した広山詞葉【写真:舛元清香】
小泉今日子主演のドラマ「最後から二番目の恋」などに出演した広山詞葉【写真:舛元清香】

広山詞葉インタビュー、文化庁の継続支援事業助成金約700万円で映画制作

 昨年4月の緊急事態宣言下ではエンタメの制作中止が相次いだ。そんな中、文化庁の継続支援事業助成金約700万円で映画制作した女優がいる。小泉今日子主演のドラマ「最後から二番目の恋」などに出演した広山詞葉(36)だ。プロデュース兼出演した映画「truth~姦(かしま)しき弔いの果て~」(堤幸彦監督、1月7日公開)は6つの海外映画祭で栄冠に輝いた。(取材・文=平辻哲也)

「最後から二番目の恋」(2012、2014)は敏腕ドラマプロデューサーの千明(小泉)と鎌倉市役所勤めの50男(中井貴一)が繰り広げる恋愛コメディー。このドラマで、アシスタントプロデューサー・飯田ゆかり役を演じたのが広山だ。

「あのドラマで起こっているようなことがリアルになっているんですよね。小泉さんが舞台や映画のプロデューサーになって、私も……。姉さんがプロデュースした4本目の舞台(『後家安とその妹』)では演者として呼んでいただいて、プロデュースされる姿をずっと見ていました。普通に紀伊國屋ホールのロビーに立って、チケットをさばいていたんです」

 小泉とは事あるごとに連絡を取っている。「先日、ノースイースト映画祭でのベストコメディー賞受賞もテレビに取り上げていただいたので、『姉さん、やりました』と連絡したら、『まいた種が花を咲きだしたね』って。うれしかったですね」。

 映画のプロデュースは2作目。第1作となった主演の短編映画「今夜新宿で、彼女は、」(山田佳奈監督)は第13回山形国際ムービーフェスティバル最優秀俳優賞などに輝いた。「山田監督が主宰する劇団『ロ字ック』の舞台を見て、この人と女性を主人公にした作品を作ったら、すごいものができるんじゃないかと思って、“ナンパ”したんですよね。思いついたら、やりたいと思ってしまうんです」。

「truth~姦しき弔いの果て~」誕生のきっかけは昨年4月の緊急事態宣言だった。「テレビ各局のドラマがストップしてしまい、気合を入れていた舞台も公演中止になってしまいました。しばらく家で毎日、酒ばかり飲んでいたんです。何もしないで、台本も覚えない。そのうち、これで生きているって言えるのかなって思ったときに、自分は表現者として生きていたい、と思ったんです」。

 9月に文化庁の助成金制度の存在を知り、女優仲間の福宮あやの、河野知美を誘って、企画書を作成。応募期限ギリギリの5分前に申請。精子バンクを題材に、3人の女の物語と決め、「SPEC」シリーズなどで親交のある堤幸彦氏に監督をオファーした。堤監督の原案、三浦有為子脚本による本作は、職業、境遇も違う3人の女が、亡くなったダーリン(佐藤二朗)の部屋でマウント合戦を繰り広げるコメディーだ。

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