AKB48の大所帯で苦悩した“埋もれからの脱却” 10年目・武藤十夢がつかんだ輝ける場所
AKB48選抜に定着で“どえらいダンス”「団結しています」
加入後、仕事は順調。4月から継続するABEMA「ABEMA Morning」(月~金曜、午前7時)では、金曜お天気キャスターを務め、10月には東京都主催の金融セミナーにゲスト出演し、AKB48の新曲「根も葉もRumor」では、「どえらいダンス」と呼ばれるほどのグループ史上最難度のダンスに挑んでいる。そして、映画作への出演も立て続けに発表。「断捨離パラダイス」(来秋公開予定)では、心に闇を抱えた“捨てられない女子”のヒロイン役、「日光物語」(来夏公開予定)では、ある事情を抱えて日光で旅をする主人公を演じることになった。
「お天気キャスターとしては、予報の原稿も自分で書いています。これは気象予報士の資格がないとできないことですし、やりがいを感じています。資格を取ってからは、AKB48の選抜に入れるようにもなり、これまでと比べて群を抜いて難しい『根も葉もRumor』のダンスを1か月間、毎日3時間練習しました。私だけでなく、2時間の振り入れを経験してきたメンバーが、それだけ懸命になりました。そうした中で演技の仕事をいただけるのも、とてもうれしいです」
さまざまな苦労と苦悩を経て、武藤はマルチな活動ができるアイドルになった。AKB48という大所帯の中、かつての自身は「埋もれていた」ものの、状況打破を考えて「隙間を狙って生きてきました」と振り返った。
「好きな芸能の仕事を離れるつもりはなかったですが、私は王道で攻めてもダメだと思い、気付いたらいろんなことに挑戦していました。歌番組に出るときも、『ポニーテールにしたい』と思いながら、『あの子とこの子もポニーテールかも』と考えて、全く違う髪型にするなんてこともありました。それだけ、埋もれるところから脱却したかったのです」
今年は峯岸みなみ、横山由依らがAKB48から卒業。武藤はメンバーの中でも、年長組になってきたが、明確な卒業イメージはないという。
「卒業は私に限らず、メンバーなら常に頭の片隅にあると思いますが、私はザックリしたイメージのままです。それに、AKB48は今、一致団結して皆がやる気に満ちています。『根も葉もRumor』への反響もうれしく感じでいます。個人活動では、女優としては『朝ドラ』、気象予報士としては『朝の帯番組』、FPとしては『1人でセミナー、講義』という感じで、それぞれの目標があります。1つできたら、相乗効果もあると思いますし、全てかなえられたら楽しいですよね」
貪欲で努力を惜しまない27歳。真の輝きを放つのは、これからに違いない。
○映画「日光物語」の五藤利弘監督のコメント
「武藤さんは、私が手掛けた映画『おかあさんの被爆ピアノ』(2020年夏公開)にもヒロインで出演してもらいましたが、私は、彼女の聡明な部分に魅力を感じています。勘が良く、こちらが思った以上に台本の内容をくみ取って、表現できる力があります。今作では、事情を抱えた少し影のある女性を演じることになりますが、スネオヘアーさんとのダブル主演で、その才能を発揮してくれると期待しています」
□武藤十夢(むとう・とむ)1994年11月25日、東京都生まれ。2011年にAKB48の12期生として加入し、AKB48選抜総選挙は12年に49位で初ランクイン。13年以降は順位を上げ(17年は辞退)、18年は自己最高の7位となった。19年4月に気象予報士試験合格を果たし、20年3月に成城大大学院経済学研究科修了。21年6月には、ファイナンシャル・プランニングの2級技能士を取得した。現在は、ABEMA「ABEMA Morning」(月~金曜、午前7時)金曜お天気キャスターを担当。愛称「とむ」。156センチ。血液型B。6歳下の妹・小麟(おりん)もAKB48メンバーとして活動している。