AKB48の大所帯で苦悩した“埋もれからの脱却” 10年目・武藤十夢がつかんだ輝ける場所
8度目受験で合格した気象予報士試験「自信になりました」
その後、コーナーは終了したが、武藤は「中途半端は嫌」という思いで挑戦を続けた。年2回、実施される合格率4%台の超難関。1次試験(マークシート)の2科目に合格しても、実技試験(記述)の壁に阻まれた。実技に落ちている間に1次の2科目も「免除1年間」を過ぎて、再受験を余儀なくされた。だが、8度目に念願の「合格」をつかみ取った。
「最後の方は週4度、塾に行きました。2時間でも暇があれば、授業はなくても自習室で勉強しました。友達にご飯に誘われても、『行ったら落ちるかも』と不安になって行けませんでした。合格したときは、『これで仕事に生かせる』とも思いましたが、自分ができなかったことが、できるようになったことがうれしく、自信になりました」
成城大大学院では、大学時代に続いて経済を学んだ。修士論文のテーマは「天気と投資」だった。
「時間の使い方がうまくいかない時期もあり、課程を修了するのに3年かかりました。ただ、振り返ると、芸能活動では知り得なかったことを学べて、楽しかったです」
「修士」。武藤はAKB48グループで初、女性アイドルでも異例の称号を手にしたが、世の中はコロナ禍に入り、途端に時間を持て余すようになった。そして、決断した。
「FP(ファイナンシャルプランナー)の勉強です。大学院で経済を学び、それまでも金融に関わる仕事もしてきたので、『勉強をする習慣があるうちに』と1つの形にしたいと思いました」
願いはかない、7月に合格。8月には2つの資格を手に、フリーアナウンサー生島ヒロシを筆頭に多くのタレント、文化人らが所属する生島企画室と契約した。
「お話をいただいたのは私がFPを取る前、『お天気と演技の仕事をしてみたい』と思っていたタイミングでした。事務所には、フリーアナウンサーの方、文化人の方も多く、演技で活躍されている方も多くいらっしゃる。学ぶことも多いと思いました」