AKB48の大所帯で苦悩した“埋もれからの脱却” 10年目・武藤十夢がつかんだ輝ける場所

気象予報士試験合格、大学院修了、ファイナンシャル・プランニング技能士2級取得。AKB48・武藤十夢は、数多くいるアイドルの中で「独自性」を見せている。注目度は高まり、映画出演が相次ぐなど女優活動も充実、AKB48では選抜メンバーに定着してきた。地道な努力の成果だが、そこに至るまでには苦悩もあった。「埋もれていた中、隙間を見つけて生きてきた」。デビュー10年、27歳の本音を聞いた。

悩み抜いた末に大学院進学を決めたという武藤十夢【写真:山口比佐夫】
悩み抜いた末に大学院進学を決めたという武藤十夢【写真:山口比佐夫】

悩んで決めた大学院進学「仕事をしながら勉強するのも」

 気象予報士試験合格、大学院修了、ファイナンシャル・プランニング技能士2級取得。AKB48・武藤十夢は、数多くいるアイドルの中で「独自性」を見せている。注目度は高まり、映画出演が相次ぐなど女優活動も充実、AKB48では選抜メンバーに定着してきた。地道な努力の成果だが、そこに至るまでには苦悩もあった。「埋もれていた中、隙間を見つけて生きてきた」。デビュー10年、27歳の本音を聞いた。(取材・文=柳田通斉)

 武藤の話し方は、テンポがいい。質問を受けると、「はい」「ほんとに」「あっ」とリアクションしながら、分かりやすく答える。成城大を卒業する前、大学院進学を選んだ時期のことを聞いても、「悩んでいました」と即答した。

「22歳のあの頃は、将来のことに悩んで迷っていました。AKB48からの卒業も考えましたが、『まだ、やり切れていない』という思いがありました。そして、迷いに迷った結果、『今、できることは何でもやっていこう。メンバーの中でも大学院生はいないし、仕事をしながら勉強するのもありだ』と思い、大学院進学を選びました。最初にゼミの教授に伝えたときは、『武藤さんが!?』とすごく驚かれましたけど(笑)」

 気象予報士試験の勉強は、大学時代から続けていた。文系で、苦手にしていた物理の要素もある問題に苦しみ、「受けては落ちる」を繰り返していた。その上に、大学院での勉強が加わった。

「AKB48のレッスン、リハーサルはあまり参加できず、DVDを見ながら自主練をして、直前リハの2時間で合わせて、『はい、テレビで本番』という日もありました。忙しい先輩たちに代わって、そのポジションに入ることもあったので、いろんな振りも覚えました。ただ、仕事の待ち時間も有効に使いたいので、勉強道具は持ち歩いていました。学校にはDVD、仕事場には教科書という感じなので、『武藤さんの荷物はいつも重そうだね』と言われていました(笑)」

 気象予報士試験への挑戦は、テレビ番組の企画で始まった。AKB48のメンバーが、さまざまな挑戦をしていくコーナーでの選択だった。

「私はダンスが突出しているわけではなく、歌は苦手、トークも全然なので、『勉強で頑張ってみよう』と思いました。そして、『気象予報士はどう』という親からの提案もあり、考えた末に最後は自分で決めました。難しい試験ですし、資格を取れば仕事につながるという思いもありました」

次のページへ (2/5) 8度目受験で合格した気象予報士試験「自信になりました」
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